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2015年まんだらけで売れた本ランキング / 青年A5+成年篇





さて、前回は新書・B6サイズの少年青年コミックスのランキングを出してみましたが、
今回はまずA5サイズのランキングを出して行きます。
新書は400円、B6サイズは550円くらい、高くとも6・700円で収まるものが大半ですが、A5サイズは650円から1500円くらいまでと一気に定価が高くなり、かつその分カラーが多かったり装丁が凝っていたりとうれしい部分もあるサイズ。

しかしながら買取をする側から言わせてもらえば、昨今はコミックエッセイ風のあんまり内容がないやネット連載をまとめたものも多く、それらは瞬間風速だけで商売してるものもすくなからずあり、定価に比して内容が薄くない?と思う本もしばしば。体験モノ、潜入モノ、レポート、旅行エッセイ系の女性コミックエッセイは新刊書店では売れているようですが・・・。

あといままでの少年・青年とくらべ、店ごとの傾向というか、色がでやすい種類なんですよね。
たとえばタコシェさんがある中野だとサブカル・ガロ系の作家が強いのですが、秋葉原にあるコンプレックスだと萌え4コマやゲーム系アンソロが売れる、といったように。
ですがランキングをみて「うちで買い物をされるお客様はやはりわかってる方がおおいなあ」とホッとしたというか。

だって中野店のA5サイズ1位が大友克洋の「童夢」ですよ!
大友克洋の作品の中でも金字塔とも言えるものですが、なぜかずっと再版されていない「童夢」。つまり古本で買うしかないわけです。それが年間売り上げ1位。おいおい、「孤独のグルメ」2巻よりも売れてるってどうゆうことですか!
中野店7位は丸尾末広の「少女椿」。13位は大友克洋「さよならにっぽん」。何年前の本だよ、とうれしくなってしまうじゃないですか!
これらは結局のところ新刊書店で揃ってなかったり、扱わなくなって久しいところだったりもします。 

反してコンプレックスの1位はというと「今日も一日がんばるぞい」の「NEW GAME!」。
こちらもちゃんとわかっているというか、アニメ化作品じゃなく、瞬間風速で話題になったあのコマからここにたどり着いたんだろうなと言う部分に加え、新しくてきれいな本が定価以下で並んでいるんなら中古でぜんぜんかまわないという、実利をきちんとわかった合理的判断で買われたんだなとうんうんと頷けます。

A5サイズのランキングの全店合計の総合では、

1位 「ご注文はうさぎですか?」1巻
2位 「幸腹グラフィティ」1巻
3位 「ご注文はうさぎですか?」2巻
4位 「ご注文はうさぎですか?」3巻
5位 「幸腹グラフィティ」2巻
6位 「幸腹グラフィティ」3巻
7位 「NEW GAME!」2巻
8位 「幸腹グラフィティ」4巻
9位 「おしえて!ギャル子ちゃん」1巻
10位 「NEW GAME!」1巻

と、実に芳文社まんがタイムKR系が上位10位のうち9つを占める独占ぶり。

以下は気になるところから。

12位「孤独のグルメ」2巻
17位「孤独のグルメ」1巻

2巻は萌えじゃないあたりでのトップ。17ぶりの新刊、と考えるともっと売れて欲しかったですね。

16位「童夢」

おそらく今年いちばん「童夢」売ったのは間違いなくうちでしょうね。
今年話題になったわけでもないこの作品を、いまきちんと買ってくれるお客様がこれだけいるという喜び。

26位「攻殻機動隊」

映画やってるのに講談社が旧版のままで頑張るから・・・新版なぜ出さないのかな?

31位「伊藤潤二の猫日記よん&むー」

ホラー漫画家の伊藤潤二でもっとも売れてるのが猫マンガだとは・・・これも売れるだけの数を確保するのが大変な作品。

34位「さよならにっぽん」大友克洋
40位「ファイブスター物語」13巻
63位「犬神博士」丸尾末広
64位「猟奇刑事マルサイ」大越孝太郎
71位「アル中ワンダーランド」まんしゅうきつこ

ここらも印象的なランキング。久方ぶりの新刊のFSS13巻と、30年前の「さよならにっぽん」がランクを争う店はまんだらけだけです! 
新書B6は売れている数がケタ違いに大きいのですが、ランキングは没個性的。でもA5サイズは実数は及ばないものの個性派ぞろいですな。


成年はというと、これも古本屋ならではというか。
通常成年コミックスは最新のものに需要が集中するんですが、古くとも人気の作家、また過年度のもので「中古のほうがお手ごろ」になったものもランクインする結果になってます。ですから、最近発表されたとらのあなさんの売れ行きランキングとはずいぶん違った結果になってますね。

1位 武田弘光「いまりあ」2014/12
2位 胃之上奇嘉郎「奉仕委員のおしごと」2014/11
3位 saitomi「いっしょにしよ」2015/03
4位 三巷文「こんなこと」2015/02
5位 Hisasi「ポルノスイッチ」2012/11
6位 Hisasi「少女のトゲ」2013/12
7位 クジラックス「ろりとぼくらの。」2012/11
8位 如月群真「好きになったら一直線!」2015/05
9位 tosh「めんくい!」2010/03
10位 みくに瑞貴「素直になれない!」2014/12
11位 武田弘光「ツンデロ」2008/12
12位 師走の翁「ヌーディストビーチに修学旅行で!」2015/07
13位 しおこんぶ「恋まぐわい」2015/01
14位 鳴子ハナハル「少女マテリアル」2008/05
15位 ReDrop「ヒメパコ」2014/11
16位 tosh「ハーレムタイム」2011/07
17位 Hamao「きらきら」2014/11
18位 新堂エル「純愛イレギュラーズ」2014/11
19位 へんりいだ「はつこいりぼん。」2014/08
20位 岡田コウ「Aサイズ」2015/02
 
特殊さがわかりやすいようにタイトルのあとに発行時期を記しておきました。
成年に詳しい人がみたら
なぱたの「ぱんでもにうむ」が入ってないのは何故だ」
「いやいや、織田nonが入ってないほうがおかしい」
と思うかもですが、前者は15年10月発行、後者は11月発行だったので、まだ中古市場で弾数が少なくて・・・というのがあります。それと織田nonの「NON VIRGIN」は手放す人が少なすぎ! 傑作すぎてなかなか手放さないのかもしれませんな。

成年は値段との兼ね合いで考える方も多く、たとえば「ツンデロ」なんて在庫もそれなりにあるため300円で販売中。値段とあの内容で考えたらそれはお得ですよね。Hamaoの「きらきら」も500円と半額ですし。
クジラックスは某通販で販売されておらず、かつ、それなりに発行から日も経っているしで地方では入手しづらいのかも。
少女マテリアルは08年の本で、いまだにこの売れ行きというのはバケモノタイトルとしかいいようがないです。成年の世界において2010年以前というのはほとんどランク内に残らないんですよ。

それと感じたのは、ワニマガジン強いな・・・ということ。20位以内に14タイトルがワニマガジンですよ? かつて強かったコアマガ系が今年の新作で20位以内ゼロとは、月日が流れる速さを実感します。

それではまた。反響があれば半期ごとでも発表しますが、どうなるかは・・・未定です。


(担当・岩井)
  1. 2016/01/08(金) 22:14:10|
  2. 古本ネタ

2015年まんだらけで売れた本ランキング / 少年+青年コミック篇





遅くなりましたがあけましておめでとうございます。岩井です。

2015年も終って、去年の大きなコミックランキングの結果としては「ダンジョン飯」であり「ゴールデンカムイ」だったわけですが、まんだらけでもスタッフが選ぶベストを公開しています。

うちは古本屋ですから、何年何月から何月までに発表された本とか、既刊で8冊までの本とか、そういう縛りはなく単純に「今年読んだ本」のランキングだということ、あと個人の好みを合算しても意味がない(バラけすぎてて集計不能ということもあるが)ので、合計もだしませんが、参考にどうぞ。

「まんだらけスタッフがえらぶ2015ベストコミック」
http://www.mandarake.co.jp/information/column/iwai/2015best/

本のスタッフとはどういうものかといいますと、

・買取する人は一週間に4000冊買取り
・店頭で補充する人はそれと同じ数を埋める

という過酷な毎日を送っています。もちろん一番買い取ってて売れるのは旬の作品と人気作の単行本ですが、古本屋だけあり、ONE PIECEの最新刊と同時に、藤崎竜の「THE WORLDS」だの「魁!男塾」が一緒に買い取られたり、「亜人」と一緒に「ゴリラーマン」だの「パイナップルARMY」を埋める、みたいな時代の異なるマンガが同時に処理されたりしているわけです。これは扱い年代が広いマンガ古本屋の特質であり、基本的に最新刊近辺の取扱いが大半である新刊書店と、古本チェーン店ではなかなかおき得ない事象でしょう。

そこが古本屋らしいといえばらしいのですが、もっともマスである層から支持されるものは新刊も古本も同じで、たとえば3大出版社が牛耳る少年の新書だと、進撃・ワンピ・ナルト・ワンパンマン・・・と、新刊書店と売上構成タイトルは変わり映えしません。

少年週刊誌の単行本が出されている、一般的なサイズ、いわゆる新書サイズでのランキングです。

1位 進撃の巨人 16巻
2位 NARUTO 72巻
3位 アルスラーン戦記 3巻
4位 ワンパンマン 8巻
5位 ONE PIECE 77巻

なんと面白みのない順位でしょうか・・・。

気になったことを幾つか記しますと

◆ジャンプの圧倒的強さ・サンデーの退潮

巻数単位での上位100位を調べると、今年出た新刊の比較的上半期に出たものが引っかかりやすい傾向があります。累計売上なので、進撃の巨人であれば18巻よりも17巻、それよりも16巻が累計で数字が上になるわけで、現実15年度の売上一位は進撃16巻と、面白みのないランキングではありました。
ただ、講談社が100位に食いこんでくるのは結局のところ進撃と七つの大罪、アルスラーン戦記だけで、それ以外のタイトルは100位には入ってきません。100中23が講談社で、のこりはほとんどジャンプです。
どれくらいかというと、100位のうち75%がジャンプ系。・・・って、どんだけ売れてるんじゃ!ってほど。

小学館はといいますと、上位30位にギリギリ「銀の匙」13巻が入ったものの、あとは50位に「だがしかし」がランクイン。それ以外はありません。今年は怒涛のアニメ化作品○連発だ!と展開したものの、アニメが既に終った銀の匙と、アニメが16年からはじまる「だがしかし」だけだったのが寂しいところ。話題になった「MAJOR 2nd」も、新刊出るたびバカ売れする「名探偵コナン」「マギ」も、100位には入らないのです。
まあ逆に言えばアニメ化ばかりのジャンプ陣に対抗しえた「だがしかし」がすごいともいえますが、単行本1巻が発売後1ヶ月くらい品薄状況で欲しい層が古本市場に流れ込んだともいえます。
100位以内に秋田書店はゼロ。弱虫ペダルがドカっと売れた印象がありますが、ペダルが出てくるのは106位から。
ただ、何年か前には圧倒的な強さを誇ったワンピが1位を譲った上、最終巻が出て再読機運が高まったナルトにも抜かれるというのは印象的ではありました。
調べてはいませんが、たぶん新刊ではワンピのほうが上だったんじゃないでしょうか。刷部数に関しても、ワンピの1位というのは揺らいでいないと思います。買取に関しても2・3年前のワンピの圧倒的な品不足はなくなり、手放す方が増えたかな・・・と。よそを見てみても市場のダブつきはなんとなく感じます。

◆DBの耐久度

そんなわけで新書ともなると発行ここ1・2年のものがずらっと並び続けてつまんないので5位までしか公表しませんでしたが、ここ10年くらいの発行のもので未だに強いタイトルは何かとランキングを遡っていくと、478位にやっと「ドラゴンボール(旧装)」1巻が出てきました。サンデー一押しの「MAJOR 2nd」の2巻とかチャンピオンの「魔法少女オブ・ジ・エンド」よりも売れています。
新作DBがあったとはいえ、10年以上前のDBがいまでもこれだけ売れているのはさすがといえましょう。

つづいては青年誌系が多いB6サイズの本のランキングです。こちらは青年誌のサイズ、B6サイズに区切ってのランキングです。

1位 ダンジョン飯 1巻
2位 東京喰種:re 1巻
3位 月刊少女野崎くん 6巻
4位 坂本ですが? 3巻
5位 東京喰種:re 2巻
6位 聖☆おにいさん 11巻
7位 魔法使いの嫁 3巻
8位 魔法使いの嫁 2巻
9位 干物妹!うまるちゃん 1巻
10位 東京喰種 1巻

「みんなが思ってた今年1位が、やっぱり1番売れてました」な1位はともかくとして、トーキョーグールがドカドカランクイン、そして「今年一番面白かった!」と声を上げられる作品ではなくとも「月刊少女野崎くん」「坂本ですが」が入ってくる上位陣です。

「ダンジョン飯」と今年の話題をさらった「ゴールデンカムイ」はこれよりもずっと下がって、75位と大きく差がついてしまいましたが、中古市場での品薄感がなければもっと上位に来たかもしれません。ここらへんが中古と新刊市場での差ともいえそう。おなじことは同じく今年の高ランカーだった「波よ聞いてくれ」にもいえます。中古の数が足りない、と。

中古市場特有といえば、「坂本ですが」3巻は入ってくる数も多かったから、買い得感のある値段まですぐに下がってきたというのもあるかもしれません。
基本、みんなが買って、みんなが手放して、在庫が過多になれば(売値も買取も)値段は落ちてきます。けっこう前の「坂本ですが」1巻が66位に入ってたりするのもおなじ理由です。
同じような理由で阿部共実「ちーちゃんはちょっと足りない」が158位に入っています。心に来る作品と評価が高い上に税抜250円と手を出しやすい金額だからでしょうね。

おなじあたりの順位で横槍メンゴ「君は淫らな僕の女王」がランクインしているのも興味深い。B6サイズの本は売価300円くらいが平均な中、3年前の本が450円で売れ続けているというのは、古本屋からしてみると驚異的であります。

◆旧作掘り返し

また古本の需要は「人気作家の過去作追い」が新刊書店のスキマを埋めるものとして出てきやすいのですが、ここでも「ダンジョン飯」の九井諒子さんの過去作「ひきだしにテラリウム」が202位、「竜の学校は山の上」が233位、「竜のかわいい七つの子」が241位にはいっていたり、「黒博物館ゴーストアンドレディ」が売れた藤田和日郎の旧作「黒博物館スプリンガルド」(483位)が探されたりしていたようですね。
しかしB6サイズは参入出版社が少年コミックスの新書とは比べ物にならないほど多いので、ある程度の色や特色を見つけるのが難しいですね。旧作も上位500位にはほとんど入ってこなかったり。

◆大ヒットがあれば維持できるマイナー誌たちと、ビッグコミック系の厳しさ

ただ、雑誌ごとでなにが1番というのはわかりやすかったです。
雑誌ごとの単行本売上の上位作が戦っている図という見方もできますね。

ヤンジャン1位「トーキョーグール」2位
ヤンマガ1位「監獄学園」16位
good!アフタヌーン1位「亜人」34位
ハルタ1位「ダンジョン飯」1位
ハルタ2位「坂本ですが?」4位
モーニング・ツー1位「聖☆おにいさん」6位
月刊コミックガーデン1位「魔法使いの嫁」7位
月刊Gファンタジー1位「黒執事」14位
月刊少年ガンガン1位「はんだくん」21位
月刊コミックジーン1位「ニーチェ先生」23位
まんがタイムきららフォワード1位「がっこうぐらし!」53位
まんがライフSTORIA1位「ラーメン大好き小泉さん」54位
ガンガンJOKER1位「賭ケグルイ」64位
ヤングガンガン1位「WORKING!!」65位
モーニング1位「鬼灯の冷徹」72位
コミックリュウ1位「モンスター娘のいる日常」74位
コミックバンチ1位「GANGSTA.」82位
電撃大王1位「よつばと!」84位
ヤングアニマル1位「3月のライオン」88位

(オンライン系)
ガンガンオンライン1位「月刊少女野崎くん」3位
WEBコミックぜにょん1位「北斗の拳イチゴ味」65位
WEBヤンマガ1位「亜人ちゃんは語りたい」90位

と、主要な雑誌のトップ駒が揃っているわけですが、マイナー誌も少なくありません。でもこれらがバカスカ売れているからこそ雑誌が存続できているという。
しかし、ここまで順位を下げても、まだあの雑誌からはひとつもランクインしてません。そう、ビッグコミックスピリッツです。

月刊スピリッツ1位「恋は雨上がりのように」95位

と95位に月刊スピリッツが入りましたが、週刊はまだ出てこない。
そうこうしているうちにやっぱり名前が出てきてなかった

アフタヌーン1位「げんしけん」102位
イブニング1位「いぬやしき」108位

がやっと出てきても、まだ出てこない。スピリッツ1位が出てくるのはやっとこここで、100位には入っていないのです。

コミックフラッパー1位「となりの関くん」115位
スピリッツ1位「アイアムアヒーロー」116位
ヤングキングアワーズ1位「ドリフターズ」117位
コミックエース1位「僕だけがいない街」121位

兄弟誌のビッグコミック、オリジナル、スペリオール、はそれぞれこれよりも下。
サンダーボルトが171位で、それ以外は200位以下だったかな? オリジナルの1位は「BLUE GIANT」でしたね。
とはいっても、オリジナルとビッグコミックスは新刊単行本よりも過去作のコンビニ単行本売上のほうがひょっとしたら大きいかもだし、雑誌での売上を重視してるとも感じます。

単行本売上によって雑誌は支えられており、雑誌単体の売上ではカバーできないマイナー誌があるのは当然ですが、スピリッツは知名度の割りに単行本売上でドカンときてるのがすくないのは感じました。「恋は雨上がりのように」が月スピから週スピに移籍するというのもこのあたりの事情があるのかもしれませんな。
まだ名前が出てない秋田書店系、双葉社系、サンデーGX、ヤングキング、コミックアライブ、月刊シリウスなどは、最も売れてる作品でも上位200位に入ってこない状況。

なにげにですが、電撃系も沈んでて「よつばと!」がなかったら連載陣の1位が「とある科学のレールガン」368位とかになってしまうところでした。コミックアライブもアニメ化がらみのラノベコミカライズが多い印象ですが、マンガの単行本は冴えません。
もっともこの2誌に関してはラノベの売上のほうがはるかに大きく、雑誌展開はラノベノコミカライズ中心でしょうから、そのあたりもなんともいえないでしょうね。
またこの2誌と一迅社系はゲームとの関係性が深く、ゲームのアンソロ・・・たとえば艦これであったり、ラブライブであったり、刀剣乱舞だったり・・・のアンソロジー集が売れてて、それらはサイズ的にはA5サイズになるため、こちらでは売れ行きが表面化していないのかもしれません。

というわけで、まずは一旦ここまでで。次回はA5と成年コミックの売上ランキングを見てみましょう。
  1. 2016/01/07(木) 17:09:21|
  2. 古本ネタ

野坂昭如と快楽天

野坂昭如さんが亡くなりましたね。

野坂さんは新潟生まれで、僕が子供のころに選挙に出馬。当時の新潟での選挙といえば、それは今太閤こと角栄サンがおりまして。
うちは両親とも新潟に転勤してきた身で、茨城から新潟の現在の駅南のあたりに引っ越してきたわけですが、「そのころは駅南なんて泥田沼みたいなところだった」といっていました。現・南笹口から亀田あたりは治水が良くない土地だったんですな。

まあいまだって県庁所在地のJR新潟駅からわずか1キロあるいただけで白鳥がホーホーやってきたりするような土地柄ですが、そこに排水場が出来、土地が整備され、道路ができあがり、高速道路かと見まごうようなバイパス(新潟市民のバイパス好きは常軌を逸しています)を作り、新幹線を無理やり新潟に通し、除雪車を大量に導入し、融雪パイプを道路に通しまくり、グンマと湯沢の間に10キロもあるアホみたいなトンネルを作ってまでも関東から高速を延伸させてきて、やっと新潟は街になったわけです。これをすべて角栄サンがやったわけではありませんが、角栄サンがいたからこそこんなムチャが通ったというのも疑いようがない事実でしょう。

賄賂政治だ腐敗だなんだといわれてもこの「みるみる生活の基盤が整っていく」ことへの恩義についてはみな頭を垂れるほかなく、法事の席で在・東京の親戚が酔って「新潟県民はなぜ角栄を当選させるんだ」と激昂しているのに、ポツリと誰かがこういうことをいったのを覚えています。
「そういうのは(もとから何をするのにも便利で、環境が整ってて、天候も豊かで苦しくない)東京の人にはわからんさ」

角栄サンというのは偉大なるリアルだったんですね。
「新潟とグンマのあいだにある山をけずってしまいましょう!そしてその土で佐渡と地続きにしちゃえばいい」。なんて今の政治家がいってもまるで信用できませんが、角栄サンであれば「やりかねんな」と思わせる実行力があったわけです。

そんな政治的な「リアル」に対し、まったくもって「リアルではない」作家である野坂さんが、どんな評価を僕らの親世代からされていたのか分かりませんが、そのころは後年の大島渚を殴るようなイメージの酔っ払いキャラの野坂さんではなかったからか、冷ややかな目で見る人もいる反面、好意的に見る人もいたように思います。

さて、このブログってこんな話するところじゃないですよね。話を変えまして・・・。

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ここにコミックLOがあります。これは第10号ですね。
コミックLOといえば編集方針のブレなさでつとに有名な雑誌ですが、最初の1号が出たときに、古書好き&成年コミックを読み込んでいるアツいマニアたちは

「これはさすがに回収されるんじゃないか」「これは長続きしないだろう」

とおもったものです。自分も即、買いに走りました(RAITAさんの戦車と少女の話が忘れられないですな)。
ここで「なんでかって?」って話をすると日本ロリコン史みたいな話になるから割愛しますが、

僕が大学のころまではまだ

「アソコが見えてなきゃ、(三次元の)少女のハダカは違法じゃないヨ」

という時代だったのです。今から考えると・・・ゆるい。じつにゆるいですね。
その後アソコうんぬんはともかく乳首だしてたらそういうのはもう全部少女ポルノじゃ、とお達しが来て、世の好事家というか、いわゆる少女愛好者とか、陽の当たらない道を歩くぞと決めた古本好きとか、ハードな変態とかは、「合法であるうちに手に入れておくか」という暗いムードが漂ってたわけです。(結果、そういった人たちも単純所持禁止でみんな手放すことになったんでしょうが)。

LO創刊時はかなりそういった意味でロリコンとかロリータって表現どころか、単語自体にも締め付けが感じられた時代だったんですよね。当然マンガでもです。
そんな中ロリータマンガ専門誌を標榜する雑誌が出たんだから、まあびっくりしたわけです。単行本でロリっぽいのがでた、なんて世界じゃなく、ロリータしか載ってない雑誌を作っちゃった、というのが驚きだった。

2号が出たときには、
「問題にならなかったんだ」「続巻出せたんだ」

と驚嘆。いまでこそ月刊ですが、1号から2号までは、たしかけっこうな間が空いたと思いますよ。そして何ヶ月かに一回出るようになり、いつのまにかLOは定期的に出るようになっていたという次第です。
で、この「定期的には出るようになったよな」時期は、表紙の上にこうあったんで苦笑したものです。

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「熟女ものがたり」増刊

中には少女、どころか幼女があらわな姿で「踊っている」LOが、こともあろうに「熟女ものがたり」の増刊だとは・・・あまりにたかみち表紙には似つかわしくない単語が書いてあったわけで。

これは雑誌コードの問題ですね。雑誌コードをとれた本はそれなりの流通システムに乗ることができるんですが、ある程度「定期刊行物である」という実績をつくらないと、雑誌コードというのは取れないんですね。
なので実績がない最初のころは、他の雑誌コードを持っている本の「増刊」とか、「別冊」ということにして、その流通に乗せてもらう、と。それである程度実績ができたら単独の雑誌コードを取ろう。という流れ。

だから単独雑誌コードを取得する、というのは、雑誌を見守ってきた人からすると「おお、成長したな」というカンジです。家の近所にある喫茶店だのメシ屋がいつのまにか自動ドアになった、とか、券売機が立派になった、みたいなものですな。

そんな感じで、あのアダルトコミック雑誌界での巨星「快楽天」も、最初のころはとある別誌の増刊扱いだったんですよ。これもまた奮ってて、なんと漫画エロトピアの増刊だったんですね。

エロトピアというとこういう感じの表紙で分かるように旧態依然としたエロ劇画誌ですが、そのころの快楽天は表紙に村田蓮爾氏を起用した、デザインも内容もエロ界のニューウェーブとかハイブリッドなイメージ。新たなことをはじめるぞという心意気が伝わってきて、90年代はみんな夢中になって読んだものです。

が、表紙の裏を見ると「漫画エロトピア増刊」と書いてあって、なんか苦笑しちゃうというか。快楽天とエロトピアというのは真逆ですからね、読者も目指すところも。変わらないことが大事な雑誌と、変えていくのを目指す雑誌というか。これはLOと熟女ものがたりでもそう。だからこそそのギャップで苦笑しちゃうんですね。

なにしろ高卒でドカタになった僕の友人が20歳当時愛読しており、それは当時でもそうとうな変わり種だったわけですが、彼がアフリカのベナンに長期出張にいった際「ベナンではエロトピアが読めねえんだよ。岩井、エロトピア送ってくれよ」と懇願された思い出があります。当時からして工員とトラッカーの友、という磐石のイメージでしたから。
(ちなみに国際郵便で「デラべっぴん」と「エロトピア」をベナンに送ると、たしか3000円近くかかりました)

さて、漫画エロトピアの「エロトピア」って、みんなうっかり「英語だろ」とか「ギリシア語だろ」「なんにせよ外来語」などと思いがちですが、これ造語です。だれの?というところで、やっと話が戻ってきて野坂昭如さんの造語なんですな。
野坂さんは代表作のひとつが「エロ事師たち」でもあるように、性に関しては言及も多く、文章もひときわ多く書いてたのですが、69年から文春で自身のオナニーネタから人々の性体験ネタから下ネタ全般をエッセイとして連載してて、そのコーナーの名前が「エロトピア」だったんです。

なんでも「ポートノピア」という単語はあるけれど、性にまつわる「エロトピア」という言葉はない、これは僕の造語だから・・・という話。もっともポートノピアのほうがいまは知らん語なんですけれどね。

もちろん、これは「漫画エロトピア」の名づけ主が野坂さん、というわけではないんですが、エロトピアの創刊は73年。野坂さんの73年といえば氏が雑誌の編集長をしてた「面白半分」に載せた「四畳半襖の下張」が発禁処分をうけ、このあと延々と表現闘争をしていくわけです。今でも発禁処分、性表現という話にはこの争いが必ず出てきますね。

雑誌であるエロトピアには野坂さんとの関連性はないものの、自分のオナニーネタまで晒して男の悲哀も表現したエッセイ「エロトピア」にリスペクトはあったんじゃないでしょうか。そして表現について戦う姿勢も。そんなことを考えちゃいますね。

なにはともあれ、野坂さんのご冥福をお祈りします。


(担当/岩井)
  1. 2015/12/13(日) 11:11:47|
  2. 古本ネタ

古本体質その2/愚かなる作家とディスられた人とスピリッツ

買取で、週刊スピリッツが20冊ほど入荷しました。だいたい85年のものですから、今からちょうど30年ほど前ということになります。
僕がスピリッツを読み出したのは小学生の高学年か、中学になりたてのころ。その頃は立ち読みだったので気になっていた作品しか読んでなかった、たぶん「めぞん一刻」「美味しんぼ」「コージ苑」くらいしか目を通してなかったと思います。

その頃の表紙がこれ。

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この号はめぞん表紙ですが、基本的には響子さんの右にあるようなこの果物とかが擬人化された系のポップな絵が表紙で、いわゆる作品のキャラが毎回デカく表紙を飾ってるわけでもなかったのがスピリッツの特徴ですね。

で、このあたりの号の目次がこちら。

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スピリッツの黄金期よりも若干前で、とにもかくにもこのころのスピリッツをささえていたのは「めぞん」。
目次を見ていただければ分かるように、あの当時のジャンプってバケモノじゃね?こんなに面白い作品ばかりなんておかしいでしょ、といわれるようなものではなく、それなりに人気があった作品はあれど、30年後のいまだと、読まれる/語られる作品の多さでいえば、ジャンプの80-90年代とはくらぶべくもないわけです。変な話、いま六田登の「F」や「傷追い人」は語られないというか。
「めぞん」はスピリッツの創刊と同時に連載が始まり、スピリッツを躍進させ続けた作品なんです。この前年に「美味しんぼ」が始まり、一躍人気になりましたが、同時にそれは長年続いてきためぞんの終わりが近づいてきたということでもありました。

この翌年、隔週雑誌だったスピリッツが週刊化します。その時点で部数は100万部を越えていましたが、100万部を越えさせた・週刊化できた大きな原動力がめぞんだった、というのは疑いようのないところです。この翌年にはアニメ化して、さらに人気が一般層にも広がることに。
やっぱり高橋留美子さんってすごすぎますね。NHKの紅白に選ばれるには単純な人気のほかに、NHK自体への貢献度みたいなものも加味されるときいたことがありますが、小学館が紅白を開いたとしたら即当確。毎年赤組のトリ候補で出場する権利をもっているひとりだと思います。

で、そのスピリッツの目次にはこんなコーナーがあります。

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いわゆる編集後記というやつですな。おなじように多くの雑誌でも掲載されてて、たいてい目次とか読者のお便りページに載ってる。中には裏話的なものが載ってたりで、その情報って結局のところここにしか出典がなかったりして、で、当然単行本化されないので、この編集後記ってなかなかに興味深いんですよ。
あと目次で、作者の近況ですね。あれも作家が他の作家・作品をリスペクトしたり、他の作家との交流にふれたり、なかなか興味深いんですが、あれも単行本化されないので死に情報になってしまう。新聞のラテ欄だけあつめた本があるそうですが、各雑誌の目次だけ集めた本があれば、是非ともほしいですね。

ちなみにこの「実在の響子さんは博多の人でした」とは、リアルにある一刻館をさがせ!という企画にでてきた女性の感想ですね。本作の響子さんではないので念のため。

なかには他誌に対するライバル心をかんじるコメントもあったりして、

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まあジャンプのことでしょうが、他社のものが前時代的と言い切るのはなかなか勇気のあること。実際石坂啓はこの先何年もスピリッツの脇を固める作家のひとりとして活躍しています。

鳴り物入りではじまり、ミスタードーナツとのタイアップもあった江口寿史の「パパリンコ物語」が休載だらけであることに苦言も。

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もはや白いワニは読者と編集部の間でも符牒になってたのがわかりますな。
この編集の嘆きもよそに、実際にはほとんど掲載されず、合計でもたった数回しか載ってません。
僕自身も経験ありますが、目次にはキチンとページ割しているにもかかわらず、該当ページを見てみると「これまでのおさらい」とか「キャラの紹介」が載ったあげく、何ページも広告が連ページで掲載されているという事態がなんどもありました。
しまいには「次号より週刊化!」という節目の号に先ちゃん自ら「第一部完です、休養して原稿を描きだめして第二部をはじめるから、ちょっと休ませてね!」と宣伝マンガを描き、やっぱり第2部はまったく描かれぬまま終ったという・・・。

そんな挑発も嘆きもある意味そんなに驚きはないんですが、いやこれには驚きました。

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愚かな作家!?
2回で決別!?
何があったんだよこれは・・・?? と思わざるをえない、この激しい口調。

で、震える手でその1号前を見ると、ありました、これがそれです。

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川三番地「オヤジ高校生」

いやあ、愚かなる作家といわれたのは川三番地だったのか。この作品自体も聞いたことがない。

原稿を落としたのか、それとも方針でぶつかったのか・・・人気投票の結果が出る以前で打ち切られてると思うので、これは単なる打ち切りではないんじゃないか。第2回表紙の「はやくも人気もの!!」の柱が空しさを助長しますね。人気ものは2回で終了しないと断言できます。
この作品じたいも紆余曲折があったのか、連載開始前の号ではぜんぜん違うタイトルで予告されてるんですよね。

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「突貫ビタミン」。

これが僕の前コラムでも触れたように、ここで記録しておかないと消えちゃう情報ですね。突貫ビタミンで検索してもなんにもひっかかりません(「オヤジ高校生」についてはWikiに情報がありましたよ)。
そんな情報必要ねーよといわれようと、こういうのをここに記載してしまうのが古本体質なのです。

川三番地というと、いまでこそ「巻数長ーい野球マンガの大家」というイメージで、最近は功成り名を遂げて「オレの若いころの話でもしようかな」と「あしたのジョーにあこがれて」でちばてつやのアシ時代の話をマンガで描いてますが、野球マンガ以前のころはあまり語られません。いわゆる作家名の読みが「かわみつばち」時代ですね。
小学生時代マガジンを読んでいた自分には講談社「おれは万太夫」が初遭遇でしたが、いやこれは下品な忍者下ネタものでしたな。
たしか同じころだった川三番地「ほんでもってESP」もそうだけれどハダカと乳首と勃起が頻繁に出てきて、ハダカと乳首が好きな子供心にはうれしいものでしたが(勃起はキライです)、親にはむつ利之だの「マグ&ヨーコ」だの「あんどろトリオ」だの千之ナイフと同様に、ハダカと乳首がドンドコ出てくるが故・ちょっと親の目の前では読みづらいのでコソコソと読むようなマンガたち、当然親からも「あれは下品だからキライ」と言われるような群でしたね。ハダカと乳首には寛容な親も、たいてい勃起には不寛容だったと思います。まあどこでもそうだろうけれど。

それにしても川三番地も勃起が大好きなのか、マガジンを一旦離れるあたりの「佐藤くん」もセックスやりたいがために野球を始める主人公が、終始勃起してるようなマンガで、それも北条司の「モッコリ」とか遊人の「ぼっきーん」みたいな明るい噴火みたいな勃起ではなく、陰茎が膨張してるのが形としては分かるが暴走の趣はない妙に生々しい勃起描写だったような覚えがあります。たしか「もっこり・・・」という擬音までついていた記憶がある。これは勃起にはこだわりがある人なんじゃないかと。

なんにせよ、そういったエロの路線を入れたギャグを期待されて、100万部雑誌であるスピリッツに迎えられたんだと思います。講談社から小学館へと活躍の場を移したんですな。
が、何があったか知らないけれど、たった2回で打ち切りに。どういう衝突があったのかは知らないけれど、この編集長の怒り方というのはハンパないですよね。単に落としたから打ち切ったのではないという印象をうけます。

で。そのあと川三番地はどうなったのかというと・・・。

エロとギャグを描ける人ということで青年誌、でも一気に格が落ちるあたり(失礼)で連載をもち、単行本が日本文華社(現・ぶんか社)から出てることもあってこのあたりは当時雑誌で読んだ記憶がなく、うちに入社後になって「ニッポンのロボコップ THE鈴木くん」だの「弾ちゃん」を読んだがなんともいえないダメなマンガで。弾ちゃんはゴルフのマンガで、各コース構成が「玉入れるの無理くない?」としか感じないほど奇抜だったことしか覚えてません。

しかし今の川三番地を形成する長編野球マンガを始めるのもこのあたり。つまり「4P田中くん」のスタートであり、ちばてつやの実弟・七三太朗原作とのタッグですな。このあたりでは本来の作風である下ネタを封印、子供たちの野球マンガを描くことに徹しています。
そして90年代になると育ててくれたマガジン系に復帰、「風光る」の好調でマガジン本誌に復帰「Dreams」、「天のプラタナス」と野球マンガでは磐石のヒットメーカーとして現在に至っています・・・。
います・・・が、そのあと野球マンガで活躍しているにもかかわらず、この「オヤジ高校生」以降は小学館とは縁なしであることも事実だったりします。それが単にめぐりあいの問題なのか違うのかはわかりません。

それにしても「4P田中くん」が全51巻、「風光る」全44巻、「Dreams」が現在68巻、「天のプラタナス」が現在24巻と、ここだけで合計187冊と、これが同一タイトルであれば「こち亀」と比べても遜色ない冊数です。ここまで野球マンガを書き続ける需要があり続けるというのは、すごいとしか言いようがありません。野球マンガも下火になった時代がありますが、そのときでもこのタッグは連載し続けてましたからね。

さて話し変わって、この編集後記の担当は下に(S)とありますな。じゃあこの「愚かな作家」と言い放った編集のS氏は誰かというと、この方です。

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一番有名な姿をもってきましたが、スピリッツの初代編集長でもある白井勝也氏です。「サルまん」でいう器のデカすぎる男ですな。創刊時35万部だったスピリッツの部数を6年間で3倍にした人です。
とにかく実績で言うと日本マンガ界でも屈指のもので、この間まで小学館副社長、いまや小学館最高顧問にまで上り詰めたという・・・たしかにそんなマンガの鬼としかいえない人にはなかなか立ち向かえるものではありません。

さて86年当時、100万部あった部数はどうなっていったかというと・・・ウィキによると2004年で46万部。2008年で35万部。2012年では21万部となり、直近の15年では17万部前後まで落ちている苦しい状況。
この数字は「週刊マンガ誌」というくくりではもっとも小さく、兄弟誌であるオリジナルの3分の1になってしまっています。

高橋留美子が去ったスピリッツをその後支えたの作家の代表が浦沢直樹で、この当時が黄金期とも言えるあたりでしょう。吉田戦車「伝染るんです」もこの時代です。
スピリッツでを毎号買うようになった大学生のころは読むところがいくらでもあった本誌も、そういえば僕もそんなに読んでないし、単行本も何作かしか買ってなくなってしまった。最近また少しづつ復調してきたので、隔週化したりせず、ずっと週刊のまま続いてほしいなあ・・・。




  1. 2015/12/06(日) 23:33:07|
  2. 古本ネタ

古本体質その1


前回の岩井の記事では、古本体質について少し説明しましたが、これは最初古本屋あるあるネタとか古本好きあるあるネタのひとつかなと思ったけれど、よく考えるとちょっと違うのかもしれないですね。

古本あるあるっていうと、
「100円棚に出たら買おう、と思った本に限って、その後パタリと100円では出会えなくなる」
「逆に100円では出ないと思って筑摩書房の文庫買ったら、よく見たら100円棚にあった」
とか
「買うか買わないか悩んだ本に限って、どんどん値上がりする」
「高くなったから売ろうと思った本に限って、再版されて相場が下がる」
みたいな、ジンクスというかイップスというか。

古本体質というのはそうじゃないんですよね。これも上手い言葉があればいいんですけれど。
物語とか作品じゃなくて物質材としての本がどんなだったかとか、雑誌版と単行本の違いとか、初版再版のちがいとか、作家名がいつから変わったかとか、異本がでたときにどういう加筆があったかとか、ゾッキ・特価本が出たとか、なんかそういう方向ばかりが気になってしまうという。これはもう嗜好というよりは体質だと思うんですよね。

これはうちで本に配属されたスタッフがみなかかる病ではなく、幾%かがそうなってしまうものです。

僕の過去の記事だと

「あざといは正義」
「Water.三種類の差」
「孤独のグルメまめちしき」
「初版買ってちょっとガッカリ」

このあたりが古本体質的な記事ですね。
これはもう、誰かが面白がってくれるだろうって気持ちがほとんどなく、これ残しておくといずれ誰かの役に立つかもナと思って書いた記事です。
ネット以前の時代のマンガ本のそういう、この本は初版と再版がどうこうとか帯がどうこうとか、もうそういうのは価値がついてる本はともかく、そうでない本はネットでも書誌がわからないことが多々あります。僕が入社したてで本に配属されたころは、そういうのはもう先輩とお客様にきいて身につけてくしかなかった。

いまは多少なりとも画像がネットに出てる本が大半だし、レビューのなかに有益な情報があったりで楽になりましたが、それでも、ドの版まで誤植があったとか、どの版についてる帯が初版帯とは違うとか、そこまでいくと分からないことばかりです。

極論すれば、すべての事実はデータに残ってるべきなんです。誰がやるかはまた別として。
これは単に作品のレビューが大量にあればいいだろとか、そういうのとは違うんですよね。内容ではなく、書誌情報なんです。
それでもあの時代に古いマンガ読みの人がこういう記事残しておいてくれてよかったよな、と感謝する、独自の情報に満ちた記事って、かなりあるわけですよ。でもそれ以外は、先人の知識が途絶せず継承されていくほかないですね。双葉社版の「坊ちゃんの時代」はやたら中割れ本が多い、とか、そんなん覚えておいても古本屋しか得しないんですけれど、それでも記録に残すべきだとおもうんですよね。たぶん共感は得られないとわかってはいますが、ハイ。

なので古本マンガ屋として気がついたことは、いずれ誰かのためになるかもしれないから残しておこう、と思ったりしてます。

たとえば、発売されたばかりの「BLUE GIANT」の7巻。これ、第53話に、雑誌掲載時は誤植がありました。

ここ。「子僧」になってますね。

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これが初出時にけっこう感慨深かったんですよ。比較的優秀な小学館の、それもビッグコミック本誌で、しかも巻頭カラーページに誤植出すんだ、って。編集の人はこれ叱られたんじゃないかな?

これがきちんと直す・・・誰かから指摘があったか、単行本作業中に気がつくか・・・というのが気になってまして、さあ発売されたばかりの7巻を開いてみたら・・・、

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直ってました!
画像小さくてごめんなさい!

そう考えると直ってるから問題ないジャンなんだけれど、雑誌で間違えてた事実って、ここで記録しておかないと残らない気がして。
あと、雑誌掲載で間違えて、初版で直ってないこともあるよ。
たとえばこれ。

これは前触れたことがあるけれど、「それでも町は廻っている」の初版。178P、はじめて紺先輩が出てくるシーンで・・・。
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あまりに自然で分からないかもしれないですが、再版ぶんからは直ってましたね。

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ここ、再版で修正されたは修正されたけれど、第何版から直ったかを僕、当時確認し忘れたんです。
まあ本腰入れて調べる問題でもないから放置してますが、いずれきちんと報告します。
それ以外でも、たしか「それ町」は、初版時の誤植ってほかにもあったんですよね。それも調べるためにまた家に帰って読まないとなあですな。

で、人の誤植が気になる私ですが、じゃあオドレの本はどうなんじゃいといわれたら、これはもう平身低頭するほかありません。拙著「マンガけもの道」(扶桑社)はですね、いや、誤植はあるわ、目次に書いてあるページをたどっても別の記事に行き着いたりするわで、チェック甘かったなあと実にまあ汗顔の至りであります。ハイ。ヒトの粗ばかり指摘してるといい生き方しないよ!といわれているようですね、ええ、まあ・・・。



いま弊社HPがちょっと工事中で、まんだらけHPからこのブログに飛べなくなってますが、こちらのブログもすこしづつ改装中。カテゴリを右に表示して過去の記事を調べやすくしてますが、そういった古本体質な事象は「古本ねた」のカテゴリにいれております。これで「うばすてやま」「超愛の人」だけ読みたい方もラクになりましたね!

いまはスタッフがさまざまな記事を毎日更新している「岩井の本棚・SAHRAの本棚」。古本マンガの通販サイトとしては、単一出品者としてはまちがいなく最大級のSAHRA通販。ビンテージ古書マンガから最新刊まで、これだけの層と物量で揃っているところは他にないはず。
これからもどんどん通販更新していきますので、こちらの記事ともどもよろしくおねがいします!




  1. 2015/12/03(木) 23:34:39|
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