岩井の本棚、SAHRAの本棚

スタッフがマンガ界のニュースとおすすめマンガを紹介します!

生き物を飼うということ




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犬を飼う 谷口ジロー



子供の頃に犬を飼いたいと強く願い、小学生のある時、我が家に突如として現れた犬は予想に反して可愛くなくて愛着が持てずに全然嬉しくなかった思い出があります。

親戚が新しい犬を飼いだしたので、前任の犬は用済みとなり(ヒドい)、ウチの父親が嫌々引き取る事になったという経緯から犬を飼う事になり、それまで幼心に抱いた「犬を飼いたい」という夢が脆くも潰えた瞬間でした。
種類は成犬で雑種、ブルドッグみたいな顔をしたヤツで、この種でよくある「ブサ可愛い」の可愛いが1ミリもない面構えをしており、挙句の果てに名前が「ナヌク」という
、何でそんな名前付けたの??と頭にクエッションマークが100個位浮かび上がるくらい謎多きネーミングセンスに悶絶の嵐が吹き荒れました。

犬を飼う楽しみって、その犬の特長やその時の季節や場所だったり、好きなキャラクターや人名からインスピレーションを受けたりしてなるべく可愛い名前を考えてあげるのが愛着を持つ一つの要因だと思います。

それが最初から名前が決まっていて「ナヌク」って知らされた日には思考を停止する他ありません。結局名前の由来は聞けずじまいですが、「何食わぬ顔 ナニクワヌカオ」(実際そんな顔してた)から「ナヌク」だと勝手に解釈しています。もしそれが正解だとしても酷いですね。

そんなナヌクも小学生の頃にやって来て、犬なのに糖尿病になったり、散歩の序盤で息を切らし腹を地面に付けて拒否したり、釣ってきた川魚を生のままエサとして貰ったり(もちろん食わない)、頭を触られるのを異様に嫌がったり、お菓子を地面に埋めたけど場所が分からなくなったりと思い出は尽きません。
あれから、なんやかんやで10年近く生きてくれました。ありがとう。
っと…我が家のどーでもいい話を長々すいません。

で、谷口ジロー「犬を飼う」です。
この本は原作付きが多い谷口ジロー作品の中でもピンでクレジットされているモノで言わば、ノンフィクションに近い実話が描かれています。
犬に川魚(一匹そのまま(生))をエサとしてあげる(私の仕業です)ような酷い話など無く、高尚な人間とペットの愛ある物語です。
ちなみに犬に川魚(生)を食わすのは御法度のようで命に関わることになるのでヤメましょう!

物語は15歳でこの世を去る愛犬の最後の一年間に焦点を当てて描かれています。
チラッと画像付きで解説します。
※主人(谷口ジロー)が「孤独のグルメ」の井之頭五郎に似ておりますがメシは食いません※


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河原で遊ぶ犬を見守る谷口夫妻。犬の足は弱りはじめており、おぼつかない。
二人は複雑な心境だというのが痛い程伝わってくる。


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どんどん老化していき、散歩も人の手を借りなければならない状態。「犬にとって食事の次に楽しみなのが散歩だ」とあるが、自由に歩けない姿を見るのは辛い。


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そんな、お互いにとって辛い日常にひと息つく瞬間がある。

あとがきでこの作品が出来上がる経緯を作者自身の言葉で書かれてますが、
「子犬の頃から死ぬまでの長編になる物語を考えていたのですが、読切となるとそうもいきません」
-中略-
「もう少しゆとりの感じさせるコマも必要だったのではないかと後悔しています。」とありますが、この主人と犬がブロック塀近くでひと息つく1ページに全てが凝縮されていると感じます。

そして、悲しい時がやってきます。
生き物を飼うというのは死ぬまで面倒を見る事。簡単で単純ではありません。
この短編42ページでよく分かります。


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次ページは…
「そして…猫を飼う」
あらら、次は猫ちゃん飼うんですね。

と、谷口家に新たな飼うシリーズが始まります。
このお話はここで紹介しませんが、決っして犬が死んじゃったから、次は猫を飼おうという能天気なモノではなく、犬を亡くし傷心の夫婦が、ある日貰い手がいない猫を連れて帰ってきて飼う決心をする心優しき物語です。

あの日ナヌクを連れてきたウチの親父も同じ心境だったのでしょうか。
何にせよ、今でも犬を飼うという夢を諦めきれないでいる担当田村でした。
ちなみに「犬を飼う」の犬の名前は「タムタム」で夫妻に「タム」と呼ばれています。
私も両方同じ呼び名で職場で呼ばれているので複雑な心境でした。

谷口ジロー作品の通販はこちら
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札幌店 田村
  1. 2017/01/19(木) 11:00:27|
  2. 札幌店田村

根底に流れる兄弟愛。金と銀に光輝くむさ苦しい漫画。




いましろたかし「新釣れんボーイ」単行本出ましたね!
前作から約15年の時を経ての新連載と単行本の発売!
出版元のエンターブレイン(eb)の懐の深さに敬意を評したいです。
ですが、いましろさんのツィッターで「1巻と表示はしない。何故なら売れなかった場合2巻がでないから」との事。売れたら「続 新釣れんボーイ」として出されるそうです。みんな買いましょう。
それと、来年2月頃には未収録含む「ぼくトンちゃん」の完全版が発売されるとの事。(これは超絶嬉しい!)
そして現在、いましろたかし企画・原案で、ドラマ「そのおこだわり私にもくれよ」でキスシーンを見せた漫画家大橋裕之が初主演の異色映画「あなたを待っています」の制作と話題に事欠きません。

で、久々に「むさ苦しい男たちの漫画」を紹介しちゃいます。ebから2000年に完全版として発行された「平成地獄ブラザーズ ハード・コア」作者は勿論いましろたかしで原作は狩撫麻礼の黄金コンビ。


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物語は、権藤右近(兄)権藤左近(弟)の兄弟が主軸になります。


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どこかで見た事ありますね。過去に紹介した「初期のいましろたかし」に登場する兄弟まんまなのです。こちら!


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                    「初期のいましろたかし」より


読んでいない方はこちらから
http://iwainohondana.blog85.fc2.com/blog-entry-216.html


エリートの弟とは、対照的なむさ苦しい兄。
相変わらず社会に馴染めずに行き場のない怒りや性欲に日々悶々としています。
この「ハードコア」前半部だけ読めば初期のいましろワールド全開でそれだけでも楽しめますが、原作者が「越境する魂の探求者」狩撫麻礼が描いているのだから一筋縄ではいきません。
後半部はネタバレになるので触れませんが、前半部をちょろっと。

ざっとあらすじ…
社会に適合できない権藤右近を毎月親の命で監察するエリートの弟、左近。
右近は、廃工場に住む知恵遅れの牛山を友達とし、埋蔵金を掘るアルバイトに従事していた。

上巻3話目「夜に誘われて」
 
9月の暑い日に牛山の居る廃工場に右近が冷えた缶ビールを持って訪れます。
二人で飲んでいると牛山がおもむろに「オンナ…」と呟きリュックサックから
風俗(デリヘル)のビラを取り出し右近に見せます。「システムをわかっているのか?」との
問いにサッポロ一番塩ラーメンとおもしき空袋からジャラ銭を広げ始めます。
ジャスト2万円!金はある!!しかし右近は牛山に「おまえセックスしたことあんのか?」


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                         虚しすぎる!


右近は牛山のピュアな部分を敬愛しており、友として何とかしてやりたい気持ちで、
自宅をデリヘル用に使えと提供するのです。


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      電話で予約を入れて部屋を片付けて、布団を敷いて枕元にティッシュ箱とコーラ2本をセット!用意は万端!!



右近は心配なので押し入れに身を隠して待機。
時間が来てついにデリヘル嬢がドアをノックします。緊張の牛山とそれを暗がりで見守る右近。


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これはもう嬢(じょう)とは1mmも呼べないババァが来てしましました。
部屋に入るなり、嫌味を言いタバコを吸いだすババァ。前金制だと金を先に要求し、
例のごとく、サッポロ一番塩ラーメンの空袋から小銭をジャラジャラ出すと、ババアは
「数えるの大変じゃん万札ないのぉ?」と怒り狂いながらもしっかり数えはじめます。
それでも欲情してしまう悲しい牛山。ババアの尻を触ろうとしたら「焦るんじゃないないよ」
とタバコの煙を顔面に吹き付けられます。
しまいには「あんた年いくつ?」などと説教しだして見え見えな時間稼ぎをして(牛山にはわからない)便所に行くと言ってプレイをせず逃げようとするババア。
居てもたってもいられず押し入れに身を隠していた右近が飛び出しババアに問い詰めます。
「てめえこそ年はいくつだ!!」
集金したジャラ銭が部屋中に飛散して象のような重くて鈍い足音をたてババアは逃走していきます。

そんな虚しい夜。(この後も右近は牛山に筆おろしをさせたくて色々奮闘します)
牛山の寝床の廃工場近くから猫の鳴き声が聞こえてきます。
「猫の集会」と牛山は言い、かぶり物を右近に被るよう指示出しして集会場に向かいます。


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そこには数十匹の猫たちの大合唱が。それを見て微笑む牛山と牛山を見てまたも
「不憫なヤツ」と涙ぐむ右近。
なんかこの最後の詩的なシーンに繋がるこの回が好きです。という事を伝えたくて長々説明
しました。

他にも、怒りっぽい兄右近と常識人でエリートの弟左近の殴り合いだとか、牛山が歯が痛くて
左近(弟)から保険証を借りて歯医者に行く話などどれも面白い。
でも、上巻後半から下巻にかけてのスピード感や緊張感は圧巻で前半は言ってみれば、
いましろワールド全開ですが、後半部からそれに狩撫ワールドが加わり急転直下の展開を見せて
くれます。
またこの二人のタッグの新作を見てみたい。できれば説教臭くないやつを!


いましろたかし作品の通販
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大橋裕之作品の通販
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清野とおる作品の通販
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担当・札幌店田村
  1. 2016/12/08(木) 11:00:54|
  2. 札幌店田村

「ガロと北海道のマンガ家たち」展に行ってきた!






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今回の企画展も小樽。場所は小樽文学館になります。
ちなみに前回の「ゴールデンカムイ」の中の小樽の記事はコチラ
http://iwainohondana.blog85.fc2.com/blog-entry-513.html

札幌市から小樽市まで車で40分位(中心地から中心地まで)ちょっとしたドライブで行ける距離です。 「ガロと北海道のマンガ家たち」展。通称ガロ展は10月23日までとなっており、この記事が載る日には終了しています。
なので記事を読んで行きたくなった人は時すでに遅し‥
ですが、前回の小樽博物館同様に館内写真撮影OK(懐が深いぜ!)なので、雰囲気だけでも味わって下さい。
前回の小樽博物館では偶然にも館長さんのお話を聞けて、と言うか盗み聞きしてたんですけど‥
今回はちゃんと真っ向から挨拶させていただきました。(博物館と文学館の館長は別人)
話が二転三転しま すが、最近まんだらけオリジナル製品を札幌店発信で企画・製作したのですが、
それが「花輪和一オリジナルTシャツ」になりまして、詳細は以下のページ↓(通販でも買えます!)

http://www.mandarake.co.jp/information/sale/hanawa/index.html


こちらのポスター等、販促物を館長の玉川薫さんにお話しして文学館に置かせていただきました。
本題に入ります。画像を見ながら雰囲気を膨らませて中に入っていきましょう。


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文学館外観。小樽には古い建物が沢山残っており風情がある。
元は地方貯金局で鉄枠の大きな窓が特徴的で日光が良く入る作りになっている。



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文学館は2階。これまたレトロな作りのドアに重厚感のある木彫りの板が歴史の深さを感じさせる。
入室すると、まるで昔の喫茶店に入ったかの様にチャイムが鳴るのが何と も味わい深い。



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「編集人・長井勝一没後20年」
あえてブログのタイトルで伏せてますが、この企画展は漫画雑誌「ガロ」と
長井勝一に大きく焦点を当てています。


ガロとは。長井勝一とは。


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長井勝一の写真も展示されています。
青林堂の建物外観(1階は材木屋)と2階から見下ろす長井さんの写真の配置が良い。


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ガロのバッグナンバー約250冊がほぼ揃っており、年代別にショーケースに飾られています。
圧巻です。


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60年代。錚々たるメンバーです。
まんだらけ 社長もおります。



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70年代。最近知ったのですが、この頃から活躍されてる花輪さんと蛭子さんって同い年なんですね。
来年70歳になられます。



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80年代。石川次郎といえば「トゥナイト2」を思い出しますが別人。
いつの年代も濃いラインナップです。



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90年代。漫画界のみならず音楽・文学・映画など多方面に
影響力のあったガロ。こうして見ると掲載された作家や作品を見て憧れて
新人が生まれる原動力を生み出し続けていたんだと感じます。



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 ショーケースに並べら れてる本を眺めるだけではありません!!ちゃんと手に取って
座って読めるスペースがあるんです。ガロがメインになりますが、聞いた話によると玉川館長の私物を
提供されているとの事。(懐が深いぜ!)
花輪和一のデビュー作「かんのむし」掲載号もありました!



「ガロ」をはじめとして「COM」や貸本マンガ(150冊)の展示も充実していましたが
何と言っても原画の数が多く迫力があります。一部ですが見てみましょう。


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鈴木翁二「オートバイ少女」。何かもう。見た瞬間泣きそうになりました。直筆原稿の力強さは
時が経っても朽ちないです。10月23日の最終日に映画化の監督を務めた、あがた森魚と
鈴木翁二によるジョイントコンサート が開かれます。行きたかった…



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長井勝一と共に「ガロ」を創刊した白土三平の原稿もあります。
長井は「カムイ伝」を掲載する場として「ガロ」を創刊したのは有名な話。
青林堂から白土三平には原稿料は支払われなかったが、白土が「ガロ」に推挙した、つげ
義春には白土が原稿料を払っていたという。「ガロ」のタイトルロゴ。これも白土三平作。



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つげさんもいます。



忘れてならない「北海道のマンガ家たち」の原画もあります。


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森雅之。ブレる事無く一貫して描き続ける世界観は、いつでもリリカルで
ノスタルジックな雰囲気に誘われます。



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花輪和一。これまた有名な話。幼少期に実の母の再婚相手の義父に受けた虐待が
凄まじく、のちの人格形成に深く影響を与え、後々まで心に傷を負って80年代に北海道に移住。
理由が津軽海峡を渡れば深い業から解放されると思い、数珠を握りしめて船に乗り海を渡った。
まさに自身が描く漫画そのもの。94年に銃刀法違反で刑務所に入る。本人曰く「居られるもの
ならもっと入っていたかった」「刑務所は極楽」と日常生活の葛藤の呪縛を引き合いにしている。
一般人では計り知れないトラウマの深さだ。
現在も第一線で活躍。次号発売の「ビッグコミックオリジナル増刊」にて新連載「風水ペット」が
掲載される。



そして、そして見所の山場は「ガロ 青年の部屋」
1960年代末から70年代の初め、マンガ家をめざして上京。さまざまなアルバイトやアシスタントを
しながら「ガロ」に投稿をし続けた青年の部屋を(抽象的に)再現しました。
投稿入選作「庄助あたりで」で1969年11月「ガロ」デビューした鈴木翁二氏の記憶を参考しています。
洗濯ばさみで吊っていたり、壁に貼っている下書きやメモと作品は、すべて鈴木翁二氏直筆。(パネル文参照)


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再現度が凄い!!何をもっての再現度か正直わかりませんが小物の使い込まれた感とマッチやタバコの箱、タバコの本体に至るまで鈴木翁二本人お手製と言うんだから気合の入りようが違います。ギターやハーモニカが片隅に置いてあるのが作家性が良く出ているなと感じます。他に今じゃ見ない銀色のドライヤーだったり、ハーモニカの箱(HOHNER)にチョークが入っていたりと映画のセットばりのクオリティで永久保存・展示してもらいたい位です。
展示用に毎週原画が翁二さんから送られてくるそうで、量も凄い。そのまま個展でもいけそう。



写真をバンバン載せましたが、こんな良い企画展を見れない特に道外の方には説明 よりも
画像かなと。小樽文学館編集の図録(500円)を購入しまして、武田巧太郎、高野慎三、山中潤
などが寄稿しており、特に青林堂最後の経営者山中潤氏の回顧録と想いは初見で興味深いものでした。
そして最終ページに花輪和一「ガロ」との出会いの文章と今回の展示会用に書き下ろした絵がカラーで掲載されています。


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どこかで見たような!


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冒頭でお伝えした、花輪和一オリジナルTシャツの書き下ろしの一つ「出たあぁ!」Ver.になります。ちなみにこれはTシャツデザイン用にと作画依頼した際に、先にラフで書き上げたモノを着色して仕上げた作品になります。ちょっとした自慢になりますが、僕が起点となって描いていただいた作品が一つはTシャツのデザインになり、もう一つはこの「ガロ展」用に文学館に飾られる事になろうとは嬉しい限りです。


10月23日で「ガロ展」は終了しますが、文学館では今後も面白い企画展が開催されます。是非足を運んでみて下さい。今回紹介した「ガロ」の創始者でもある白土三平。その父親はプロレタリア画家の岡本唐貴になります。
唐貴作の油絵「小林多喜二死面」は文学館に行けばいつでも見られます。
また、文学館ではショーケースで飾られていた「ガロ」ですが、まんだらけでは普通に買えます。
年代ごとに特色の変わるあなたに合った「ガロ」を探してみて下さい。

月刊「ガロ」通販はこちらから
https://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?categoryCode=1002&keyword=%E6%9C%88%E5%88%8A%E3%82%AC%E3%83%AD


札幌店田村
  1. 2016/10/28(金) 10:56:08|
  2. 札幌店田村

「ゴールデンカムイ」の中の小樽展に行ってきた!




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小樽市総合博物館で9月25日まで開催中の「ゴールデンカムイ」の中の小樽を見てきました。
まずは、こちらですね。


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作者の野田サトルさんは北海道北広島出身です。ゴールデンカムイの
連載2年前より取材を行っていて、小樽市総合博物館にも足を運んでいます。
その時の博物館側の全面協力もあり、今回「ゴールデンカムイ」初の企画展の実現となったそうです。
マンガ大賞2016受賞作品でありますが、読んだ事がない方のために…

「ゴールデンカムイ」
日露戦争(1904-05)直後の北海道で、帰還兵の杉本とアイヌ民族のアシリパを主人公にした物語。
どこかに隠された莫大な砂金と、そのありかを示すといわれる、脱獄囚24人に彫られた刺青をめぐり、政府転覆を狙う集団、土方歳三を名乗る人物などが、明治後期の北海道各地で、さまざまな事件をおこしていきます。
この作品では、アイヌ文化を軸に、北海道の動植物や地域文化の特色も紹介しています。(企画展のパネルより抜粋)

この企画展では約40枚ちかくの原画が展示されています。
最近、自分はNHKの番組「漫勉」を見てその手法を詳しく知ったのですがこの作品は「フルデジタル原稿」なんですね。原画のほかには、博物館が所蔵する資料も並びます。
館内写真撮影OKだったので写真で見てみましょう。


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「第七師団絵葉書」昭和初期発行。入隊した兵士の家族向け、土産用の絵葉書。
第七師団は軍都旭川の象徴であった。(企画展のパネルより抜粋)


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タイトルにも使用されている物語の重要キーワード「ゴールド=金」
北海道で砂金がよく取れたんですね。今からおおよそ100年前の話なので、この地図を片手に最新機器を持って行けば残りカスでも拾えないですかね!行こうかな…?


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この再現度は凄まじいですね。デジタル処理だからこそ成し得る技術なんでしょうか。


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アイヌ文化独特の紋様があしらわれた服飾も丁寧に描かれています。
時代を超越して輝き続けるデザインとはこういうものなんでしょう。
アイヌ衣装に身を包むアシリパは神々しい愛らしさがあります。


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バトル・ハンティング・グルメとテンポ良く進む物語で重要な狩猟アイテムもバッチリ資料があります。


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極め付けはこれ!!ヒグマ!!でかい!!
右に小さく「やさしくさわってね」とあり ますが、撮影に夢中で触るの忘れてました。こんなヤツに襲われたらひとたまりもありません。
そういえば最近熊に襲われた空手の有段者の男性が目つぶしで撃退したというニュースがありましたけど、大山倍達ばりの凄さですね。
その人何者なんでしょうか。自伝本書いたら読みたいです!

博物館に到着したのがちょうど閉館1時間前で、抱っこヒモで寝ている娘を胸に抱き、起こさないよう慌てて見学しはじめたら、20名くらいの団体さんが入ってきました。
そこへ博物館の館長(後で調べたらわかりました)が展示物を前に色々と紹介をしていたのでこっそり中に入り込み話を聞いていました。どうやら(たぶん)何処かの教員達が勉強がてら見学されていたようです 。僕があまりにも普通に聞いていたのですが数名の方が「誰だコイツ」的な目でチラチラ視線を感じました。今思うとちょっとシュールな絵面だったと思います。館長さんのお話は全部は聞き取れませんでしたが、娘の耳を手で押さえつつある意味必死で自分は耳を傾けました。

「ゴールデンカムイ」はアイヌ語の研究者が監修を務めている事や大量の資料や取材を基に、 時代背景や風景・小物や言語など忠実に描かれており、現代のアイヌ文化を伝える良質な素材でもあります。
しかも画力や描きこみも凄まじいですが、これだけの資料を基に週刊連載で話をまとめ上げてそれでいてエンターテイメントに昇華されている技術は誰も真似できません。

しかしながら館長さんの話を聞いていて忠実に描かれていない部分があるとの事で、そこも紹介しているのが面白いと感じました。


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第七師団が雪山をスキーで滑走するシーンですが、野田サトルさんは道内出身でスキー経験者(北海道の学校は授業でスキーやスケートが組み込まれている所が多い)
経験者ゆえにスキーのシーンは大丈夫と言っていたそうですが、思い込みがそのまま描かれてしまったそうです。
まずはスキー板の仕様が違うので、膝の曲げ方が絵のようにならない事とストックは当時1本だけだったそうです。


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鶴見中尉の後ろの建物(元ネタ:名取商店)ですがデ ジタル加工で反転して描かれていますがよく見ると「上」の文字が反転されたまま描かれています。

最後に単行本1~3巻までに描かれている森が小樽の森ではないとの事。しかしながら4巻以降はしっかり小樽の森になっていると説明していました。
そういった点も併せて見てみると面白いですね。


僕の実家が道東の田舎町なんですが、アイヌ部落や文化が残る阿寒湖が近くにあるので作品に対する親近感に似たようなものが少なからずあります。

あとはグルメですね。9月22日に作中で登場する料理を再現する「ゴールデンカムイ軒」が1日限定で渋谷にOPENするそうですね。食べてみたい!

もちろん道民ならではの馴染みの食材があります。( 地域によって違ってくる)
まずは鹿肉。じいちゃんが生きてた頃、たぶん…ハントした鹿をガレージで解体していたんですが、小学生の頃にその光景を見てグロくてしばらく食べませんでした。
今でも苦手意識はあります。味は脂身が少なく、獣匂がして食感固めで肉感が非常に強いです。
血抜きの仕方によって味が大分変わるみたいですが、何回か食べていますが特段イメージ
は変わらずTHE獣肉です。
ちなみに道東でエゾジカが自然繁殖しており、車に乗っていたら道路に急に飛び出してきたり、立ち止まったりで人身事故ならぬ鹿身事故はよく起こります。
自分も昔、急ブレーキを踏んで鼻先数十センチのところであわやと言う場面がありました。
あと、僕の出身校が山に面しており、グラウンドに鹿が乱入してくる事 は日常茶飯事でよく正露丸を大きくした様な糞が落ちていました。
残念ですが僕の見解はどちらかというと害獣に近いです。


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行者ニンニク。僕の田舎ではアイヌネギと呼んでいます。春先になると山に群生しており 、子供の頃によく採りにいきました。自分たちでは食いきれない量を採ってきてはご近所に配ったり冷凍保存したりします。
料理方法は、卵とじが定番で味付けは和風ダシと醤油のみで十分です。後はシンプルに醤油漬けですね。瓶に入れておけば保存食として長く食べれます。
味の特長は匂いが強く、ニンニク臭を数倍濃くしたような香りです。食感は柔らかくネギ自体の味がしっかりしているので、数本つまんで楽にご飯一膳はいけます。
しかしながら食べ過ぎに注意です。滋養強壮で体に良いですが、食べた翌日の体から発するニオイが存在を隠しきれません。子供の頃は残酷でアイヌネギを食べた友達が、やっぱり臭くて、その日からあだ名は「ネギ」になりました。
ホント味は美味いのですが、ニオイが強く食べたらそれなりの覚悟が必要な魔性の食材でもあります。
食べた事が無い方は一度ご賞味いただきたいです。

「ゴールデンカムイ」の中の小樽。偶然にも館長さんの説明が聞けて面白かったです。
このブログで3分の1くらい写真公開しちゃってますが行く価値は大いにあります。
現在の小樽の街並みやグルメなんかも素晴らしいので観光にもおススメです。


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札幌店田村
  1. 2016/09/16(金) 11:00:04|
  2. 札幌店田村

十代の衝撃!!ぶっ壊れる日常「さくらの唄」




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安達哲「さくらの唄」


まず、この漫画を知るきっかけとなったのは、まだ高校生だった自分が購読していたファッション雑誌smartの記事で、モデル・ミュージシャン・俳優などの有識者たちが選ぶマンガベスト3なるページがあり、当時面白い漫画に飢えていたので、そこにのっているタイトルを片っ端から読み漁るという事をしてました。誰が何をチョイスしてたのかは20年近く経つので朧げですが、ピエール瀧が「野球狂の詩」を推していたのは覚えています。中には「AKIRA」「リュウの道」「わたしは真悟」など、今まで読んだ事がないタイトルが多く、この出会いはマンガ好きを一気に加速したように思います。

中でも衝撃的だったのが、「さくらの唄」と「デビルマン」でした。
「デビルマン」に至っては、修学旅行の帰りの空港で文庫本を全巻買って、機内で読破しショックすぎて相当落ち込んだ記憶があります。折角楽しい旅行だったのに最後で台無しでした。僕の脳は、高校の修学旅行=デビルマンと記憶が完全に変換されました。

「さくらの唄」は、ここ最近では、「悪の華」3巻と「男のための青春まんがクロニクル」で押見修造が影響を受けたマンガとして「10代のうちに必ず読むべき漫画」と紹介されています。
単行本は講談社オリジナル版全3巻で3巻だけ18禁いわゆる成年マークが入っており、講談社B6コミック・青年コミック内を見渡しても異質な存在です。

まずは、1巻袖のあらすじをそのまま転記します。

市ノ瀬利彦-。富士桜ヶ丘高校3年生。
両親の海外赴任のため、離婚した元ヤンキーの姉と二人暮らし。そこへ親戚の金春(こんぱる)夫婦が乱入し、家庭生活は崩壊寸前。彼の唯一の救いは同じ高校の中村真理。同じ画塾に通うことから、退屈な日常から一歩足を踏み出す!


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前編では、偏差値の低い高校生のとりとめのない日常が描かれており、主人公市ノ瀬は学校でそこそこの人気はあるが、自分に自信が持てず童貞をこじらせた性格。ある日、学園のマドンナで希望の光・中村真理との出会いが彼に彩りを与えていく。


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映画「さくらの唄」のエンディング場面


文化祭の出し物で映画を制作することになり、市ノ瀬の強い希望で中村真理を主人公に、その名も「さくらの唄」を撮りはじめる。
何もかもがうまくいっていたのだが、親戚の金春の財力と変態性と思惑にのせられ、少年市ノ瀬利彦の平凡な日常は終末へと向かっていく。


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主人公に画塾を進めた富士桜ヶ丘高校の三ツ輪先生(2巻表紙の女性)、産休で休んでいたのだが突然彼の前に現れる!!


上記がざっと第1巻と第2巻の中間部でしょうか。2巻の第19話「大いなる悲劇の序章」より物語はガラリと雰囲気が変わります。
あまり内容を紹介しすぎると、心に突き刺さる度が半減するのでこれぐらいにしときます。連載が90年代初頭で、25年近く経ちますが作品の持つパワーは色褪せる事なく、今読み返しても緊張感やテンポは秀逸で、それこそ自分が高校の頃に読んだ衝撃を思い起こしてくれます。


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「さくらの唄」同名のロックアルバムが存在します。GOINGSTEADYによるもの。
のちの、銀杏BOYZで再録されLIVEで何度も演奏される「BabyBaby」「銀河鉄道の夜」などを含む全曲ハズレなしのマスターピースです。この頃はメロディックなナンバーが並びます。
バンド解散後、新たに銀杏BOYZとして発表した2枚のアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」「DOOR」は漫画「さくらの唄」3巻目の壊れっぷりを音楽で体現したような世界観が表現されており、激しい演奏と絶叫に似た叫びとリビドー剥き出しの歌詞がミックスされ異様な緊張感を生み出しています。峯田和伸は相当影響を受けたのでしょう。漫画と併せて(押見修造の言葉を借りれば)十代で触れなければならない作品ではなかろうかと提言したいです。


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もう一つ、前回紹介した大友克洋「ショート・ピース」収録の「任侠シネマクラブ」ですが、ある高校の映画研究部が文化祭で映画を制作する短編なんですが、「さくらの唄」の元ネタだったらいいなーと個人的に思いました。どうなんでしょう‥?見比べてみるのもいいかもしれません。


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余談ですが、文庫版の下巻で◯◯との衝撃のSEXシーンがありますが、一部カットされているのでオリジナル版をお勧めします。
読むべきはオリジナル版。しかし在庫が心もとないので、16年8月現在1巻~200円買取。全3巻セット700円買取となっております。お持ちの方はお近くの店舗にお持ち下さい。


(札幌店/田村)
  1. 2016/08/04(木) 10:55:40|
  2. 札幌店田村

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