岩井の本棚、SAHRAの本棚

スタッフがマンガ界のニュースとおすすめマンガを紹介します!

お見舞いについて語るとき我々の語ること




あけましておめでとうございます。大晦日に同僚と飲んでいて、その足で新井薬師に初詣に行ったのですが、ものすごく寒くてこのまま外にいたら死んでしまうのではないかという環境の中、「セブンイレブンでハーゲンダッツが20円引きだから」という理由で震えながらアイスを食べ始めた黒田さんを見て、新年一発目の「いったいやつは何をやっているんだ?」という気持ちになりました。中野店の長谷川です。

 外にいるだけで凍え死にそうな元日の午前3時にアイスを食べ始めた黒田さんに対して何もできなかった僕ですが、親しい人が不治の病に冒されたとき、その人の為に何ができるのかという問いに「笑い」で答えた作品が、今回ご紹介する『NKJK』(全2巻)です。

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『NKJK』吉沢緑時/双葉社/2016年


 多くの人は医者でもないので、できることは限られています。お見舞いに行って少しでも気持ちを明るくさせようとか、何か欲しいものを買って来てあげようとか。しかしどれだけ親しくとも、これから死ぬかもしれない人間と、以前と変わらない生活をしている人間とではまったく立場が違います。次第に以前と同じようなコミュニケーションは取れなくなっていき、どちらにとっても会うことが負担になっていく。そんな、ある意味避けようがなく、誰しもが遅かれ早かれ直面するであろう重病患者への「お見舞い」。
 この作品でも、不治の病を派手に発病した富士矢さんに対して、西宝さんはお見舞いには行くものの「私は、富士矢さんの力になれているのだろうか...」と不安になります。


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 そんな西宝さんに、富士矢さんのお母さんが「娘を笑わせて欲しい」という依頼が。人体には免疫力を高める「NK(ナチュラルキラー)細胞」というものがあり、それは笑うことで活性化されるというのです。この「NK細胞」、実在する細胞なんですね。ふざけた名前だから、最初は作者のオリジナルかと思っていましたが、検索したら本当に存在する細胞でした。


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 そんなわけで、「笑い」というものに明るくないお嬢様女子高生の西宝さんが、これまたお嬢様JKの富士矢さんを笑わせるためのミッションが始まります。お笑いのジャンルを細かく調べ、エクセルにしてタブレットで持ち歩く、まじめな西宝さん。


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 まずは基本中の基本であるおでんリアクション芸から始まり、たとえツッコミ、古典落語、日常にあったおもしろい話の紙芝居などなど。成果はというと、ド天然である西宝さんが狙った方向とは違うところで富士矢さんを笑わせることに成功したり、ネタの最中に寝られたり、ただキョトンとさせたり。


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 その間にも、やたら笑いと人生について造詣の深い長期入院中の榎本りんちゃん(10歳)という師匠ができたり、高校の同級生である甲斐さんと壇さんという協力者を得て、段々とやれることのバリエーションも増えていきます。


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上の画像が師匠こと榎本りんちゃん。下の画像の黒髪が甲斐さんで、金髪が壇さん。

 しかし、それでも富士矢さんの病状は進み、またとんでもない発作を起こしてしまいます……。


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 手術室の前で10歳とは思えないフォローをする師匠。


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 もう完全に「富士矢さん死んじゃったのかな?」みたいな雰囲気しかないですが、ところがどっこい一命は取り留めます。落ち込んでいた西宝さんも、「富士矢さんは西宝さんたちの登場を楽しみにしていたし、迷惑だなんて思っていない。むしろ『もっと来い!』と思っているはず」と甲斐さんに背中を押され、渾身の不謹慎ネタ(富士矢さんの葬式動画)を作ります。その動画を見た富士矢さんの表情がこちら。


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 このコマで1巻は終わりです。このあとどうなるのか。西宝さんの次のネタは何なのか、師匠は次はどんなアドバイスをするのか、そして富士矢さんの病状は......。先月発売の2巻で完結なので、そちらでご確認ください。ひとつだけ言えることがあるとすれば、師匠は2巻でも非常にかっこいいです。

 あらすじは大体こんな感じなんですが、なんかこの漫画ちょいちょいおかしいんですよね。一番気になるのは、回想シーンや容態が急変した時の富士矢さんの吐血の量が多く、やたらリアル寄りで死体みたいなところ。


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 ギャグ漫画であることと、難病モノの感動系であること、さらにはリアルな死という、なかなか相容れない要素を組み合わせようとしているから、読んでいて何か引っかかる部分を残すのかもしれません。まあそもそも、西宝さんは当然ちょっとおかしいとして、それを当たり前のように受け入れる富士矢さんもおかしいので、土台から普通ではないんですけどね。


(担当:長谷川)


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  1. 2017/01/08(日) 11:00:08|
  2. 中野店長谷川

みんなおなじこと言ってるんだろうなー。




ちょぼ先生、『あいまいみー』アニメ3期決定おめでとうございます。中野店の長谷川です。秋なんてなかったというレベルでもうすっかり冬ですね。夏はなんとかエアコンなしで生活できたんですが、冬はマジで死ぬかもしれない危険性があるので、最近ケーズ電気でエアコンを買いました。昨日、取り付け工事があったのですが、僕の部屋には壊れて2時間遅れの時報をキャラクターボイスで知らせてくれる「けいおん!!」の壁掛け時計というものがあって、黙々と作業をするおじさんと僕との無言の空間に「12時だよ!(10時)」という平沢唯ちゃんの声が響き渡り、芭蕉が「古池や蛙飛び込む水の音」と詠んだ時の気持ちになりました。

 というわけで、今回ご紹介する作品がこちら。


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『鬼頭莫宏短編集 残暑』鬼頭莫宏/小学館/2004年

 『なるたる』や『ぼくらの』で有名な鬼頭莫宏先生の短編集です。

 交通事故で死んだ妹の幽霊とデートするデビュー作の「残暑」(1987年!)から、ある駄菓子屋をめぐる喪失と少年たちの成長の話「ポチの場所」(2004年)までの計7作品が収録されています。一貫して流れるのは、コマの余白に宿る余韻というか、独特の喪失感。それでも暗い話にはならず、爽やかささえ感じる終わり方。各短編は人が死んだり幽霊がでてくる話が多いのですが、不思議とカバー絵にある澄み渡る青空のような読後感のある作品集です。

 その中でちょっと毛色が違うのが忌野清志郎の同名曲がタイトルの「パパの歌」です。


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 まず、人も死なないし幽霊も出てこない。少年少女も登場しない。里帰り出産のために妻の実家に帰る若い夫婦の車中での会話がメインの話です。
 それだけの説明だとかなり地味な印象ですが、これが名作。伏線の回収といい、会話のうまさといい、最初の印象からラストでの意外性といい、「雨上がりの夜空に」から「パパの歌」へのズラしと反復といい、短編の構成として言うことない出来です。


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 車とギャンブルとRCサクセションの「雨上がりの夜空に」が好きで、金髪でヤンキーっぽい風体の隆(夫)。


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 それに比べ、タバコもギャンブルもせず、酒も付き合いくらいで、趣味は居間の掃除という、いかにも中年サラリーマンという風貌の松葉(妻)のお父さん。

 見た目も性格もまったく違うように見える2人ですが、松葉は最近なぜかお父さんのことを思い出してしまうし、(松葉の)母には隆がお父さんと似てると言われる。なぜなのか。いわゆるミステリー風の大どんでん返しがあるわけではありませんが、一つ前に引用した「雨上がりの夜空に」のページの伏線が見事に回収されていて、心憎いです。というか、お父さん最高にかっこいいぜ!
 あと、このページの「松葉、そういう趣味?」への「バカ?」の返しがいいですね。なんかもう、これだけでこの2人の関係性がわかるような気がして、すごくしっくりきます。というかただ単純に、僕が疑問形で「バカ?」と言われたいだけのような気もしてきましたが、それはそれで。

 会話のかけ合い自体も、一枚上手の妻と尻に敷かれてる夫、でも意外と夫に甘い妻と意外としっかり将来のことを考え始めた夫の、なんだかんだいい組み合わせだなと思わせる若い夫婦感が出ててすごくいいんですが、下の画像のようなちょっとした会話のズレというか時間差みたいな演出はもっと好きです。こういうのが、リアリティとか間とかテンポとか言われてるやつですよね、きっと。


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 特にパパになる予定も里帰り出産の予定もない僕ですが、人はこうやって少しずつパパになるのかもなー。と暖房が効いた部屋でアイスを食べながら思った秋の夜長でした。

(担当:長谷川)


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  1. 2016/11/30(水) 10:41:13|
  2. 中野店長谷川

世の中にはな―― ふたつのものしかないっ




いやー、すっかり秋ですね。秋アニメも続々と開始する中、なんといっても『12歳。~ちっちゃやなムネのトキメキ~』の2クール
目が始まりましたね。1クール目の1話を観た一部のTwitter界隈の克洋じゃない方の大友たちが、

「12歳のリアルのすべてが詰まっている」
「12歳。に比べると深夜アニメが子どもの遊びに見える」
「Aパート濃すぎる」
「作者、ブラと生理の話好きすぎない?」
「このペースだと3話くらいで妊娠してしまうのではないか」

とザワザワしたことも記憶に新しいあのアニメが帰ってきたのです。
2クール1話目は僕の大好きな蒼井結衣ちゃん回!「12歳...それは子どもでも大人でもない微妙な年齢。変わっていく体...
変わっていく心...私たちは思春期の入り口で戸惑いながら大人への階段をのぼっていく...」結衣ちゃんによる12歳特有のポエムで開幕です。(スタンディングオベーション)

本編はいきなりブラのサイズの話から始まり、キス?で終わるAパート。1クール目1話とのデジャヴ感も相まって頭がクラクラしてき
ます。新キャラのチャラ男稲葉くんの登場で結衣ちゃんの貞操があぶない!でもそこは風呂屋の息子こと結衣ちゃんの彼氏、桧山くんが完全シャットアウト!1話は最終的に桧山と結衣ちゃんがイチャイチャして終わります。

その他にも、某お兄様を彷彿とさせる感情がなさそうな完璧イケメン高雄に、そろそろお姉さんの実在が疑わしくなってきた「
お姉によると」が口癖の恋愛博士まりんちゃんなど、愉快な仲間たちによる日本で一番リアルな12歳の日常が展開されていきます。
最新の2話では、ただのチャラ男だと思っていた稲葉くんが実はいいヤツで、誠実な視線に見つめられた結衣ちゃんのハートと貞操がヤバい!的な感じになっており、ますます目が離せません。

まったく関係のない前フリが長くなり過ぎました。今回ご紹介するのはこちら。


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『竜の学校は山の上 九井諒子作品集』 九井諒子 イースト・プレス 2011年

『ダンジョン飯』が「このマンガがすごい! 2016」オトコ編1位に選ばれ、飛ぶ鳥を落とす勢いの九井諒子先生の短編集になります。ちなみに『ダンジョン飯』は中野店でも3巻の発売と同時に全巻面出しをしている人気作です。

九井先生の作品は、大別するとふたつの作風が抽出できます。ひとつは、作品世界をファンタジー世界にして、そこに現実世界のリアリティとロジックを適用する作品。『ダンジョン飯』や、『竜の学校は山の上』の中では前半の「帰郷」「魔王」「魔王城問題」なんかはそうですね。
もうひとつは、世界観は現実世界なんだけどそこにひとつ大きな嘘(ファンタジーやSF要素)を導入し、結果的に現実世界の寓話になっているという作品群です。『竜の学校は山の上』では後半の「現代神話」「進学天使」、表題作の「竜の学校は山の上」がそれに当たります。
どちらの作風にも共通するのは、描写と設定のディティールの丁寧さによって獲得されるある種のリアリティです。リアリティ。それはとっても難しいなって。まあ、ここでは「現実っぽさ。現実の手触り。あらゆるパラレルワールドの中でこの現実世界との距離感が比較的近い」くらいの感じで使っています。余計わかりにくくなりましたね。リアリティ問題は僕の手に余るので次に行きましょう。


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さて、『竜の学校は山の上』の中でも僕が一番好きな短編が、表題作の「竜の学校は山の上」です。舞台は現代。日本で唯一「竜学部」がある山奥の大学。昔は交通や運輸の手段として利用されていた竜ですが、科学技術が発達した現代ではコストがかかりすぎて利用価値のない絶滅危惧種。そんな竜を有効活用する方法をどうにかしてみつけようと日々奮闘しているのが、カノハシ部長率いる竜研究会。
だがそう簡単に見つかるはずもなく、やはり竜には利用価値はなく、ゆるやかに絶滅するに任せるしかないのか......という形でストーリーは進んでいきます。

というか、カノハシ部長かわいすぎでしょ!!!!


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なぜある種のオタクは、白衣を着ててショートカットで中性的なキャラに弱いのかと小一時間考えましたが、ただの僕の趣味嗜好だったので答えは出ませんでした。『日常』の中村先生なんかもかなり好きです。でも『日常』だとはかせも白衣キャラだから、かなり手強いですね。何の話だっけ。
そうそうカノハシ部長かわいいって話ですね。そりゃ、はかせも中村先生も超かわいいんですが、『日常』は絵柄がデフォルメされてて物理法則も歪んでるので、完全に2次元キャラとしてのかわいさなんですよね。ここでさっきのよくわかんない「リアリティ」の話に
繋がるんですが、「竜の学校は山の上」の世界は「竜」が存在するということ以外はほぼ現実世界と同じで、物理法則も歪んでいないません。比喩的に言うなら1,87次元くらいの距離感なんですね。いや冷静になれば漫画だし完全に2次元なんですけど、カノハシ部長みたいな人いそうだなーというか、都市伝説レベルでは存在したのでは?くらいの感覚なんですよね。いや、「都市伝説だったら存在してねーじゃねーか」というツッコミはわかるんですが、そうじゃねーんだよ!現実との距離感の問題なの!ここでは!!!でも別に現実に近いからいいという話ではないんですよ、はかせ超かわいいし。でもですね、各リアリティレベルによって引き出される魅力の違いみたいなものがあると思うんですよ。

はかせかわいい。でも現実にはいない。OK。
カノハシ部長かわいい。現実にはいない。だけど、はかせよりは現実世界に近いレベルのパラレルワールドにいそう。OK。
はかせのかわいさとカノハシ部長のかわいさは微妙に違う。それは単純にキャラクターの違いということ以外にも、リアリティレベル
の違いから自動的に要請されるものがあり、比喩的に言うなら......すいません、ちょっと思いつきません。

オッケーです。次行きましょう。


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というわけで、基本的には竜の有効活用を模索する形で話は進んでいきます。人を乗せて空を飛べるヒリュウで日本一周してPRする計画や、竜の卵や肉を食用にできないか、愛玩動物としてはどうか。しかしどれも実現は難しそうな感じです。これらがダメな理由も、いかにも現実で無理筋な研究をしている理系研究者という趣があって、やはりディティールが素晴らしいです。基本的には大型の竜を維持するのにコストがかかりすぎるんですね。具体的な数字が出てくるのがいいです。


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そしてかわいいだけじゃないカノハシ部長の孤独とかっこよさが語られるシーン。


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カノハシ部長とよし子(ヒリュウ)の飛行シーンを挟んで、タイトルに引用した部長のセリフの続きが語られます。


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世の中にはふたつのものしかない。それが何と何なのかは本編を読んでご確認ください。
カノハシ部長の生き方、研究とは何か、科研費とは何かが集約された一節になっています。
もちろんそのセリフによって、何かが解決したわけではないし、これからも解決されないのかもしれない。所詮はきれいごとかもしれない。しかし少なくとも、僕は背中を押された気がしましたし、カノハシ部長に一生ついていこうと思いました。


(担当:長谷川)


『竜の学校は山の上 九井諒子作品集』の通販はこちら

九井諒子先生のその他の作品はこちらからどうぞ
  1. 2016/10/21(金) 11:02:33|
  2. 中野店長谷川

夏の終わりにジャスティストレインミリオンアーサー




どうもこんにちは。残暑お見舞いのイラストがTwitterに舞い狂うさまを見て、夏の終わりを感じている中野店コミック
スタッフの長谷川です。上半期ベストということで、自分の読書メーターをつらつらと振り返ってみたものの、ちょっとこれは自分の
手に余るなというものや、おもしろかったけど上半期ベストとしてはどうか?みたいなものが多く、とりあえず日課である『弱酸性ミ
リオンアーサー』のアニメをニコニコ動画でダラダラ観ていたら「これや!!」と閃光がナイトレイドしまして、今回ご紹介するのが、ち
ょぼらうにょぽみ先生の『弱酸性ミリオンアーサー』です。


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*『弱酸性ミリオンアーサー』* ちょぼらうにょぽみ/エンターブレイン/2016

ちなみに、ちょぼ先生といえば2度もアニメ化された『あいまいみー』という代表作があります。四コマ漫画としては『サザエさん』と『ごちうさ』の次くらいに有名ですね。

さて、『弱酸性ミリオンアーサー』(漫画)は『拡散性ミリオンアーサー』(オンラインカードバトルRPG)をはじめとするメディアミックス作品「ミリオンアーサー」の一環として制作されたギャグ漫画であり、そのキャラクターやストーリーは基本的にはゲームに準じています。と言っても、ゲームや他のメディアミックス作品を嗜んでいなくても、『弱酸性ミリオンアーサー』単体で十分楽しめる内容となっています。というか、ひと目読めばわかるのですが、ゲームをプレイしていてもいなくても、8割方意味がわからないので、どっちにしろジャスティストレインミリオンアーサーです。


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さすが、ジャスティストレインミリオンアーサー。のっけからペロペロ&ナイスチンチン。さらに、なんと全編オールカラーです。


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この漫画を読んでいると、もしかしてリアルでも会話には文脈なんて必要ないんじゃないか。適当に好きなように喋って、困ったら寿
司の話をすればいいのではないか。という考えが頭をよぎりますね。


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ちょぼ先生の十八番でもある声優ネタはここでも健在です。


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寿司です。


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ランスロット有休回。


寿司おじさんことマーリンや声オタモブの他にも、下半身からワカメをいくらでも養殖できるパルデちゃんや、幼女を背中に乗せて時にはお股の匂いをクンクンするご褒美ライオン、リーフェさんのおしっこで炊いたお米でオニギリつくって皆んなと山頂でピクニックしたくてたまらないグリンゴレットなど、愉快な仲間たちがたくさん登場して、無尽蔵にジャスティスでトレインなミリオンアーサーワー
ルドを展開していきます。個人的には魔ーサー(アーサー魔法の派)がかわいくて好きです。アニメだとCV:くぎゅ(釘宮理恵)で、完璧です。



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アニメも今ならYouTubeとニコニコ動画で最新の36話までなんと無課金で見放題!!漫画を購入しようかどうか迷ってる人も、
とりあえずアニメを見て判断できる!ほんと大した奴だよ、スクエニは!!

「弱酸性ミリオンアーサー | SQUARE ENIX - ミリオンアーサー ポータルサイト」

http://portal.million-arthurs.com/kairi/jma/

しかも1話=1分30秒なのでサクサク見れます。むしろ初見では何も記憶に残らないくらいサクサクと映像が流れていきます。僕のおすすめは、声優:花澤香菜の本気が見れる+井口裕香の切れの良い「ナイスチンチン!」が聞ける前半の山場の第3話と、花澤香菜の本気その2が見れる第29話ですね。

第3話 niconico http://www.nicovideo.jp/watch/1448975405 youtube
https://www.youtube.com/watch?v=47AaqQ6ywdw


第29話 niconico http://www.nicovideo.jp/watch/1465970943 youtube
https://www.youtube.com/watch?v=HsVgS-8pgys


1、2話視聴した人なら「あれ...?このアニメ、声優陣豪華過ぎくない?」と気づくと思うんですが、そうなんです。1分半アニ
メなのになぜか有名声優使いすぎィ!なんです。ソーシャルゲームってやっぱすげえや...。俺も生まれ変わったらソーシャルゲー
ム屋さんに転生して、自分の好きな声優を起用して京アニにアニメ作ってもらうんだ...。

そして、12話までのED(エンディング)曲が通称「浄化ED」と言われているのですが、これがまたすごい。直前のアニメ本編が
ギャグとしてどんなに投げっぱなしでも、広大なユーラシア大陸のようにすべてを包み込み、悠久の時の流れの中に何もかもを忘却さ
せるかのような曲調が、結果的にどんなネタでも「落として」しまうというギャグアニメとしてはチート級の効果を発揮し、続きを見
れば見るほどそのグレードマザーっぷりに戦慄するという構造になっています。ほんと大した奴だよ、まんきゅう(監督)と三澤康広(音楽担当)は!!


みなさんも夏の終わりに『弱酸性ミリオンアーサー』を見て(読んで)、きれいサッパリ夏休みのことはもう忘れて、輝きの向こう側
に小さい秋を見つけに行きましょう。


(担当:長谷川)



ちょぼらうにょぽみ『弱酸性ミリオンアーサー』の通販はこちら

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  1. 2016/09/08(木) 11:00:52|
  2. 中野店長谷川

団地から宇宙へ、夏休みから未来へ。




 はじめまして、今回から岩井の本棚ブログに書かせてもらうことになりました、中野店コミックスタッフの長谷川です。イゴ、ヨロシク!!お願いします。

 さて、僕の引っ越し先が団地なんですが、夏で団地で、ついでにSFという連想を繰り広げて今回ご紹介するのが、今井哲也『ぼくらのよあけ』全2巻です。


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 西暦2038年夏、大接近する彗星を心待ちにしている沢渡ゆうまは、団地に暮らす宇宙大好きな小学4年生。ある日家庭用ロボット・ナナコが、何者かに乗っ取られる。それは宇宙から来た人工知能だった。「私が宇宙に帰るのを手伝ってもらえないだろうか?」団地から宇宙へ。ひと夏の冒険が、今始まる……。
 といった小学生が主人公のジュブナイルSFな本作なのですが、作者の今井先生が「団地団」という団地好きの団地好きによる団地好きのためのグループのメンバーだけあって、まず目を引くのが団地描写です。


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 うーん。団地だ。見事な阿佐ヶ谷団地ですね。団地の敷地ってけっこう緑豊かで鬱蒼としてるんですよね。奥に小さく見えるのが西新宿のビル群ですかね。さらにその奥に夏の入道雲。見事な景観ですね。


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 団地内の広場から、奥に集合住宅のシンボルでもある貯水塔が見える通りを経て、30号棟201号室。これ、「沢渡」のプレートが微妙に浮いてるというか、多分この部分だけ実体じゃないARディスプレイなんですよね。


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 このコマは主人公たちが屋上に登ろうとするシーンなんですが、上階によくわかんないゴミのような物が置いてあってゴチャゴチャしていたり、昼間なのにけっこう影が差して暗かったりという団地感がよく出ていて好きなコマです。

 ところで、漫画ではなくアニメで団地といえば、これを観た当時の少年達の多くを「バイオリン職人を目指せば文学少女と付き合えるのでは?」と錯覚させたことで有名な、罪深いジブリ映画『耳をすませば』があります。「耳すま」の団地描写も、雫がコンビニに牛乳を買いに行く冒頭のシーンからして「これは団地が主役なのでは?」と思うくらいすごいわけですが、基本的には昭和ノスタルジックとバイオリン職人に全振りで、カントリー・ロードなわけです。ちょっと自分でも何を言ってるのかわからなくなってきましたが、要するに『ぼくらのよあけ』は団地なのに近未来SFというミスマッチがいいぞ。ということです。

 近未来の設定やガジェットもアニメ『電脳コイル』を思い起こすようなこだわりで、各話の間のページに「ぼくらの未来図鑑1~8」と銘打って詳しく説明されています。AIが生と死について長々と話すシーンや、技術的特異点についての話と相まって、設定好きのSFファン視点でも楽しめる作品です。日常生活に普通に浸透している、ちょっとだけ未来のテクノロジーの見せ方がさりげなくて非常にうまいです。


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生と死の境界について、めっちゃしゃべる人工知能。パッと見、ちょっと何言ってるのかわかりませんね。まあ、まだ僕じゃわからないか。この領域〈レベル〉の話は。


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 また団地やSF要素だけでなく、学校裏サイトとTwitterを合体させたような近未来ツールでハブったりハブられたりする子どものイヤな面や、主人公たちとそれぞれの親との関係、姉はいつもいじめてくるし嫌いなんだけど実はお姉ちゃん大好きな弟など、それぞれの人間関係が丁寧に描かれている点も作品に幅を持たせています。


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 「クラスの敵」やばいですね。ネーミングがそのまま過ぎる。でもシンプルな中に、パブリック・エネミーの学校版みたいなニュアンスがあり、そう考えるとダークヒーローみたいでちょっとかっこいい。中二病的に考えると、そいつ能力者ですね。「シャッフル・オブ・ザ・クラス内ヒエラルキー」とか使いそう。

 後半では、親たちがまだ子どもだった頃(2010年)のエピソードも絡んできて、さらにエピローグではその後のことが少し描かれています。全2巻の中に「過去・現在・未来」の縦軸と、それぞれの人間関係という横軸がしっかり収まっており、その構成の見事さにもおどろかされます。

 エピローグに関してはネタバレってほどではないのですが、一応詳細は省きます。でも、エピローグもいいんですよこれが。エピローグ大好き人間としてはかなり上位に入るエピローグでした。物語が終わっても、こいつらの人生は続いていたし、これからも続くんだな、っていうのが垣間見えるのでエピローグ大好きなんですが、それについてはまた別の機会に。


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 そいうわけで、夏と団地とジュブナイルと近未来SFがうまいこと2巻の中にまとまっていて、とても完成度が高く、かつワクワクする漫画なわけです。うまくまとまっているように思えないのは、僕の文章がまとまっていないからであり、本編とはなんら関係ありません。

 すがすがしい読後感が、この夏の暑さを和らげてくれると思いますので、この機会に是非!学生さんであればもう夏休みでしょうし、ちょうどいいですね!
 そうか……夏休みか……そういうのもあったな……。

 俺たちの夏休みはこれからだ!(完)


(担当:長谷川)


『ぼくらのよあけ』通販ページはこちら

今井哲也先生の他の作品はこちらからどうぞ。

『ハックス』は今井先生の初連載作品。アニメ制作をする高校生たちと「才能」をめぐる青春漫画です。大学時代にアニ研に所属していた今井先生ならではの初期衝動が詰まっています。三山ァ!お前ってやつは本当に…...。
『アリスと蔵六』は現在コミックリュウで連載中。不思議な力を持った少女たちと頑固で優しい蔵六じいさんが送るファンタジー漫画です。今井哲也の代名詞とも言える、抜け感のある背景とダイナミックな構図がさらに洗練されており、それだけでも一読の価値ありです。

  1. 2016/07/19(火) 10:28:28|
  2. 中野店長谷川

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