岩井の本棚、SAHRAの本棚

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うばすてやま/4

いよいようばすてやまの最終回です。前回までは・・・
ババを殴ることに多少の罪悪感を覚え始めた美江子と安信。僕らはこんなことしなくても、もう大丈夫なんだから・・・とババ殴りから逃避。しかしババたちは殴られ賃がもらえずシュン。そして、狂った一ヶ月がやってきた・・・。

陰気さが影を潜め学校にも出てくるようになった安信。学友達の間でも評判は上々。そんなある日女生徒たちが安信に声をかけようとすると、ウウ・・・と苦しんでいるじゃないですか。

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ヨロヨロしてて、その姿は何かに耐えているようでもあり苦しんでいるようでも。サッと振り返ると・・・

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目に下にはクマ、瞳は血走ってこりゃダメですね。ぜんぜん殴り断ちできてねえじゃねえか安信!そして凶行は行われた・・・。

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力いっぱいボカスカとブン殴り放題。ものすごいアッパーです。殴ってそして走って逃げる安信。この人ババ相手そして女生徒相手と、徹底して自分より弱い人間、それも女にしか拳を向けないんですよね。ヒキをこじらせて家庭内暴力に至ってるヒトの元祖ともいえます。陰気か、そうでなければ弱者暴力か・・・いずれにせよお近づきにはなりたくないですな。

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本人も自分の最悪さがホトホトイヤになってて、凶行の末逃げ込んだ公園で、ぼくはダメだ・・・死ぬしかない!と気落ち。ダメな人間なんだ、ぼくは・・・と、追いかけてきた美江子に、しかし安信はこういうんです。こんな不穏なことを。

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そのあと? 自分がダメだというくらいだから内省的になったのかと思いきや・・・

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うれしくて? 内省とはほど遠い形容詞が出てきちゃったけど、話をうかがいましょうか。うれしくてどうなったんです、か・・・?

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「世界をかけまわりたくなるようなすばらしい気持ちになったんだ・・・」

エエ―ッ! 高揚しすぎだよ! あとぶっちゃけすぎ!もちっと隠そうよ自分の業をさ!
あの人って自分にウソをつけない人なの。確かに頼りないところもあるけれどそこがすきなのよね・・・などと草食系男子に対して評する女子もいますが、自分にウソをつかなすぎる人間もまた困りものだ、ということがお解かりでしょうか? 安信は自分に正直なだけなんです、棒は持つけどピュアメンなんです!

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だからちゃんと爽快になるだけじゃなく苦しみもあるんだと吐露。その苦しみは禁断症状なのか罪悪感なのか?

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罪悪感だ、人はやっぱり殴っちゃダメなのに耐えられない自分の情けなさが・・・僕みたいな奴は死ぬしかないんだ! とのた打ち回る。ハタで聞いていた美江子は、こころの苦しみを取り除くにはどうすればよいのか考え、罪悪感を増幅させて正常化するかそれとも暴力か、どちらを優先すべきかをハカリにかけるわけです。そしてわかったわ、私にまかせて安信くん! とばかりに出た答えは・・・

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「私が
安信君の
なぐる相手を
あたえるわ!
よろこんで
なぐられる
相手を・・・・」!

大まちがいです!! ああ~~やっちゃった、致命的エラーです! このエラー報告をマイクロソフト社に送信しますか? 送信しません!

カネにあかせて殴らせてくれる相手、といえば・・・

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そう、ババたちです!ババたちもしばらくご無沙汰だったバッティング&お小遣いがきた!とばかりに喜びを隠せず「ウヘヘヘ」とと口調からも笑みがこぼれるほど。このよどんだギブ&テイク。資本主義とはこういうことだ。格差社会とはこういうことだ!・・・アレ、違うような気がするな・・・。そして始まりますよ、コイツが・・・。

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そう、時計の出番です!狂った一ヶ月の始まりです!じゃあ狂った一ヶ月をぜひご覧下さい!

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叩けば叩くほど目つきはランランとして来、ランランとするほどにババたちにおひねりが振舞われ札束が散る・・・安信のテンションは上がる上がる。アッパー。躁状態。ハイテンション・・・ことばは違えど、そんなことばじゃ表現できないほど殴るイコール↑。殴らないイコール↓。これからは気軽に「今日テンション高いねー」などと言えなくなりますね。ババを棒で殴った後かもしれませんよ! これがその効果です!

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「すばらしい・・・」

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「全てがすばらしい・・・」
「生まれ変わったようだ!」
「さあ僕といっしょにあるこう踊ろう!初夏を楽しもう!」
いやーちょっとそれは。尻込みしはじめる美江子をヨソに全開放!

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蝶が舞い、花が咲き、世界は安信のために動き、地球は安信のために回る・・・天井点が唯我独尊、ワールドイズマインですね。でもモンちゃんだってここまで開放しなかったと思うな。例の棒グラフだったらきっとてっぺん突き抜けてるよ絶対! そのころあばら家では・・・

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よかった、ババたち重傷ながらも生きてたよ!狂った一ヶ月戦争を戦い抜いたんだ! 寒い冬もこれで越せるぞ・・・しかし思うのは足が悪いとはいえゴンじい、男なんだからババたちに替わって殴られるべきだったと思うんですよね。

ババたちの策略も見事にこれで当たって、上手いことハイソな嬢ちゃんからカネを巻き上げたわけです。これで現代にもうばすてやまがある!といわれてもな。わたしらをなぐりんさい、って言い出したのはババたちだし、それを言い出さなきゃだれも悪い目に遭わなくてよかったんだよねこの話・・・まあ安信は陰気なままだけど・・・。

ってその安信は狂ったあばら家を出てどうなったかと言うと・・・

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すぐに苦しみだす!アレだけやってもう足りないのかおかわりなのか安信!そう、麻薬と同じで常習するようになると禁断症状が出やすくなりスパンが短くなるんですな・・・暗い野原で美江子はババたちの策がやっぱり根本的解決に至ってなかった、お金では人の気持ちは変えられないわ、と悟らされる、が・・・

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「ギロ」
そう、ここに獲物はもう一人残ってた!

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表情が豹変し、あっというまに棒を手にして踊りかかる安信。おまえ美江子まで毒牙にかけるのか? 

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最後の理解者さえも棒の餌食にしてしまう安信。最後の一線を越えたというわけですね。残る道は・・・

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そう、貸本ホラーマンガお決まりの発狂オチです!何の救いもないオチで完。誰もイイ目にあわない、どころか実は被害はあれど当初の目的を達成したのはババたちだけ! 老獪ですね。 

でもここから得られる現代的な教訓は「老人の知恵を侮るな」でも「因果応報」でもなく

「うかつに救いの手を差し伸べるととんでもないことになるので要注意」
「自分で稼いでない奴のあぶく銭の使い道はロクなもんじゃないから気をつけろ」

だったりすんのかなあ・・・とフト思ってしまうんですね。美江子の母性本能がなければこんなことには。安信が陰気で引きこもってるだけなら社会は平穏なままだったんだよなあ・・・。でもそうするとババたちは冬を越せないし。いっそ安信をもっと陰気にさせて、しまいにはあばら家に住み着かせ、かわりにババたちを安信の家に住まわせればオールオッケーだったのかもしれないですね。

貸本はこんな考えてないラスト&テキトーさが漂ってるのがほとんどですが、池川先生はチトちがう。社会派ですから。でもこの空回り感が失せることは無いんですねえ。社会派だけど伴ってない。だってこんな結論でも池川先生は社会を良くしよう、ってホントにおもってるんですよ。池川先生の太陽プロの若手も共感してたみたいですしね。この偉大なる空回り。ものすごい力技で押さえつけてるけど、蹴り足はスカッと空を切ってる感じ。真正面から襲ってきてるのに空振りするウエスタンラリアット。それが池川伸治です。

池川先生は作品も多くて貸本集めの入門としては最適。ここカオスには池川貸本けっこうでてますよ! やっぱ宣伝かえ! もちろんですとも!
  1. 2009/10/21(水) 03:27:17|
  2. うばすてやま

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