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石田のしわあせなマンガの日々 第2回「死に日々のクロニクル」

なんか先輩が浮浪雲について書いてたので、一休さんがどくろを掲げて正月の町を彷徨く話を思い出しました。
アモクンアモクン、こんにちは、中野店少年コミック担当の石田です。

なので、正月ながら(記事そのものは大晦日〜正月辺りに書いています)、いや正月だからこそ、めでたさのとなりにいつもある「死」、をテーマにした漫画を共に拝読してみましょう。

福地翼/サイケまたしても

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『うえきの法則』、福地翼さんによる超変則能力バトル。
「普通であることに興味が持てない」(というブラフ)、無感情・無感動に日々を生きる主人公・サイケ。幼馴染みの蜜柑ちゃんの死に際して、深い後悔故なのか、「もぐら池(地名)に身を投げることで、人生のある一日をコンティニュー出来るようになる」能力を手に入れます。
1巻では丸々、彼の無為な日々の過ごし方、そしてそれがどのように変革されていくか、が描かれるのですが、同時期に『亜人』

『僕だけがいない街』

といった「死(生)を連続体験することで強くなる漫画」が様々に連載されている中で、「サイケ」のポイントは2つ。

主人公の無為な日々への言い訳。

なぜ中学生は文学を読み、洋楽を聴くのか?違う、俺はそうじゃない、俺は本当にニルヴァーナが好きだったし、カフカの変身が本当に好きだった、言い訳じゃなかった!!と顔を真っ赤にする俺。と中学生活を同じくする様な貴方に読ませたい。
そんな彼が、「したいこと」を強めていくところにひどくドラマ性を感じちゃいます。

・それを能力バトルに接続していく異様さ。

言ってしまえば、ジョジョ4部ボス吉良の「アナザワンバイツァダスト」や、『TheBook』の「TheBook」として、既に「生を繰り返す」能力バトルは提示されていた筈なのに、なぜかこの漫画は非常に新鮮に映りました。それは多分、「亜人」や「僕だけが」のような「ドラマ」だと思い込ませるストーリーの流れによるものでしょう。

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そう、この漫画は何故か「幼馴染みを救うため」の一巻を通り越して、二巻から能力バトルをし始めるのです。一巻の終盤から不穏なのですが、思わず読みながらんん?と声を発しました。
この能力のスイッチが「身投げ」。一々死の苦しみを味合わなくては、コンティニュー出来ないところがなんともブラックです。
死んででも手に入れたい毎日、とはなんぞや。

恥ずかしながら、福地翼さんの作品は初読だったため、ちょっとwikiったら過去作も非常に面白そうなへんてこ能力バトル。こりゃあ読まねばならんですわ。

福地翼作品

山本彰一/堕天作戦

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死ぬ回数ならサイケくんどころではない、とにかく主人公が「不死」能力にあかせて死にまくる、亜人やむげにんを思わせるハードSF。
でも何がスゴいって、このマンガ、開始の一章ほぼ丸々全部、気球の上なんです。

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にもかかわらず読者を退屈させない、緻密な設定と、強固な物語構成。
主人公が不死者で、世界は「魔人」という魔法が使える人間とは別種のものが支配していて、科学は魔法に追いやられた宗教のようなもので、人間はほぼ死に絶えていて、その世界でさぁ何をする?って話なのですが、まぁ主人公が不死者ってだけなので、弱い。
魔人に捕まってボロボロにされて、心も摩耗し切って何の反応もなくて。その、ほぼ丸々気球の上、を通り越して、不死者の主人公が「戦い」を取り戻すところが壮絶にアツい。WEB連載中からもうワクワクでした。
申し訳ないですが、絵柄もストーリーもちょっと地味で、裏サンデーの中でもちょっと地味。ですが、これは漫画好きに絶対読んで欲しい、オススメの漫画です。

よく仕事でボロボロになった時に、目が死ぬ・感情が死ぬ等して、買取処で買取マシーンと化したりするのですが、
頭の中に
「24時間、あなたは働けますか?」
「戦わなければ生き残れない」
という文言が浮かびます。すると、あ、まだ俺は生きている、とモゴモゴ言って、マシーンから人間へと戻ったりするのですが、そんな感じの漫画と思ってもらえれば幸いです。…いや、違うな、読んで下さい。

カイトモアキ/裸のふたり

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『コミック焦燥』というアンソロに一編(これも激ヤバな「恋愛漫画」でイチオシです、2016年1月現在500円買取)、双葉社から『白い少年』(未完)が出たっきりの、寡作の作家さん。

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これ「先生が好き」って告白したページなんですが、ページをめくると

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おおおおおおおおおおお!!!!
突如ワールドイズマインにでも世界観を乗っ取られたかと見紛うような爆発的な咆哮・方向に。完全にホラー漫画の文法。
その爆発力故に、周囲の人間も巻き込んで、生と性、死と恋とを濃密にかき混ぜる漫画なのですが、まぁーーーー怖い。感情が昂ると押さえられなくなり、その押さえられなさが肉体に反映する少年が、恋の対象である「先生」に向けて爆発。感情が抑えられない人間に接する時の怖さ、理詰めが通らない人間の怖さ。
でもね、これを読むとこうも思う訳ですよ、焼け付くぐらい生き急いだなら、無理に生きながらえるひつようもないのかな、と…。あ、でもこのふたりはちゃんと生き残ります(重大なネタばれ)。

ゆうきまさみ/白暮のクロニクル

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もしかすると、漫画に非常にお詳しい方なら、今回のサブタイトルをご覧になった時に、「お。この店員、阿部共実ファンやな、よう分からんがばれんと思って記事にタイトルなんか入れ込みよってからに、ほんまそこの浅いやっちゃ」と心の中でお突っ込み頂けたのではないかと思いますが、申し訳ありません、「空灰」も全部読んでないし、未読の作品もいっぱいある、ファンというにはおこがましいアレなのです。でも死に日々の2巻の「8304」と「7759」は漫画表現の新たな地平を切り開いたので、そこだけでも全漫画ファンは読むべきだと思うよ。
それはそれとして、最後はコレ。タイトルのもう半分はゆうきまさみさんの現連載作品『白暮のクロニクル』より頂いたのですが、この作品、すごく作家性を感じるのです。
パトレイバー・バーディ・あ〜る・じゃじゃ馬ぐるーみん、と超ヒットを飛ばさず、カルト的な持ち上げられ方もせず、「漫画っぽくって、良い漫画だな」と思わせる作品の多いゆうきまさみさん。文藝別冊の特集で「異端のまま王道を往く」とタイトルに付いていたのは、実にうまいことこの作家を表すコピーだな、とほぅっとなりました。
不老・死ににくい・ある程度の血液や生肉の摂取を必要とする「オキナガ」という種族が社会にある日本で、オキナガ連続殺人事件が起こるサスペンス。
今年のこのマンにも下位で選ばれていてホッとしましたが、「死ににくい種族がもし日本社会に居たら?」という実験思考と、生き生きと動くゆうきまさみキャラクターとが織り成すエンタメ作品が、面白く無い訳がない。

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右がオキナガ、左が普通の人。右が倍近く年を喰っています。
にもかかわらず、左の人の老成具合が、何とも組織を上手く回している感が感じられます。ここがゆうきさまさみさんのキャラクター力のスゴさだと思うんですが、「体が年を取らなければ、精神も年を取らないのではないか?」を説明でなく、キャラクターの動き方・生き方でごく自然に表現しているんですよね。
もう一度言ってしつこいですが、面白く無い訳が無いので、読んで下さい。「サイケ」が何のために生き何のために死ぬかの話、「堕天作戦」が生きるために死ぬのと死ぬために生きるのとどっちがいいかの話、「裸のふたり」が死ぬために生きるなら今死んだ方がマシな話だとすると、「白暮」は死なずに生きたら生きるのはどうなるかの話、という感じですね。

普段「死ぬこと」について考えることは、まぁあんまり無いというか、うわぁ今死にそう、とかって瞬間とか(大晦日もお正月もお仕事が貰えて一人ぼっちじゃない!嬉しい!失禁!)はよく到来するのですが、「どうやって生きていくか」を「死ぬこと」を通じてちょっと考えるお正月休みもいいんじゃあない、と提案してみたりします。
まだお休み中でこちらの記事をご覧頂いている方は、是非これらの漫画を手に入れて、ちょっと考えてみて下さい。
もう休みなんて終わったわ!死ね!と毒づきながらも最後までご覧頂けた方は、これもやっぱりこれらの漫画を読んで頂いて、また明日も頑張りましょう。

いやー、漫画って、本当によいものですね。(綺麗な終わり方)



(担当:石田)



  1. 2016/01/05(火) 11:00:44|
  2. 中野店石田

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