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「幽霊体験」いかがですか?





こんにちは。福岡店から3度目の衛藤です。
今回は月刊アフタヌーンにて「月に吠えらんねえ」連載中の清家雪子先生の前作、「まじめな時間」を紹介させていただきたいと思います。ええ、本当は「月に吠えらんねえ」を紹介したかったのですが、あの世界観を言葉で表すにはまだ経験不足…今はこれがせいいっぱい…。未来の自分に託したいと思います。


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清家雪子先生といえば新海誠「秒速5センチメートル」コミカライズでデビュー、ということで、ご存知だった方も多いと思います。「まじめな時間」は初のオリジナル連載、2巻完結という非常に読みやすく、しかしずっしりと心に残る作品。

あらすじとしては、不慮の事故にまきこまれ高校生という若さで亡くなってしまった主人公 一紗(かずさ)。死んだ人間はその後霊体となり、魂の浄化(成仏?)まで現世で自分が死んだ世界にとどまり続けることになる。一紗もそのうちの一人として「自分のいなくなった世界」にとどまり続けるが…という霊界ファンタジー(谷口ジロー先生談)。

魂の浄化はある程度時間がかかるようで、そこらかしこにうようよといわゆる「幽霊」な皆様がいたり、死んだばかりの人にその状況を説明する「案内役」の方がいたり、近付くと悪霊化する「心霊スポット」のようなものがあったり、学校にぞろぞろ幽霊がいたりと、結構私たちが暮らしてる今とかわらないコミュニティーが霊界にもできているようです。


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一紗は自分が急に死んでしまったこと、自分の死が友人たちの間で何かのお祭りさわぎのように扱われていること、日がたつにつれ自分が忘れられ、何事もなかったかのように回り続ける日常、自分の死から立ち直れていない様子の母親の憔悴した姿。そんな風景を、(幽霊だから)触れることも意思を伝えることもできず始終やきもきしながら見ているだけ。と書くととんでもなく暗いストーリーのようですが、この一紗ちゃん、非常に高校生らしい活発な、表情のころころ変わる女の子な上に、幽霊の皆さまも非常に生活感あふれるお姿のため、一瞬幽霊の話だと忘れそうになるくらい。

そんな中、両思いだと思っていた男の子が別の女の子を好きだと気付き、どうやら霊感のあるらしいその女の子へのいじわるに精を出しはじめたところ、自分の気配に気付かれてしまうところから、物語は廻り始めます。その後の展開は…読んでみてからのお楽しみということで。


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清家雪子先生の漫画の魅力は、なんといっても「空気感」だと思います。
キャラクターがあって背景があるのではなく、まず日常のなかに、それぞれの登場人物が生活している。読み直して気付いたのですが、効果音が極端に少ないんですね。だけどなにも描かれていない空白から、服の擦れる音や息遣いが聞こえてくる。「死んでしまった(消えた)自分が、自分が消えたその後の世界を見ている」という視点は、生きているうちはあまり体験できない感覚ですが、自分がかかわることができない憤りや嫉妬を体験して、死んでからもいろいろな人(霊?)と交わって、ゆっくり自分の死を受け入れていく一紗や両親の心の動きは、いつか体験した・もしくは今後体験する親しい人との別れを思い起こさせます。号泣したくなるような感動も悲しみもありませんが、読み終わった後に自然と涙ぐんでしまうのは仕方ないかもしれません。


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(福岡店/衛藤)
  1. 2016/03/21(月) 11:00:41|
  2. 福岡店衛藤

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