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記憶なんて何の役にもたたないから




華倫変という漫画家がいた。

不安定な絵柄と現代の怠惰で退廃的、純粋に狂っていく日常を描き続けた作家である。
生前から鬼才と呼ばれていたが、28歳という若さで亡くなり、その存在は更にカルト的となっている。
単行本は7冊(うち2冊は復刻)しか存在しない。
私も多感な時期に華倫変作品に出会い、思想や嗜好にかなり影響を受けた作家です。
その中の1作品を今回は紹介しようと思う。


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「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」

この単行本の中に収録されている作品。

『忘れる』

2001年にヤンマガ増刊赤BUTAで発表された作品。
これはたった6ページの漫画、漫画というよりは詩のようにも見える、どうしようもなく切ない作品である。


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何もする事がない主人公が毎日眠り続ける。眠れないときは酒を飲み、薬を飲み、眠る。
1日何十時間も眠り続ける。眠っていると脳細胞が死んで、色々な事をどんどん忘れていく。
勉強してきたこと、楽しかった時間、言えなかった言葉、好きな人の名前も…

それでも彼女は眠り続ける。

「忘れていく 全部 忘れていく 忘れないものなんてない」

全てを忘れていく彼女が、最後に残ったもの。


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これほどまでに、「せつなさ」という感情を「せつなく」描いた作品があるだろうか。
全てを忘れていっても「せつない」という感情だけが残るという、残酷さ。
この作品を読み終わったあとのどうしようもない「せつなさ」はこの漫画を忘れてしまったとしても残るんだろう。

作品集「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」はまだ続きます。


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(中野店/田路)
  1. 2016/09/12(月) 11:00:42|
  2. 中野店田路

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