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このまま映画の話で終わったらどうしようかと思ったらやっぱり映画の話で終わった




 今年はわりと邦画を観に行く。すごいですねえ今年は。去年もすごかったんですけどね。マッドマックスとスターウォーズでヴァルハラに逝ったりフォースに導かれたりダークサイドに堕ちたりで上が下でお前が俺でのお祭り騒ぎ。何言ってんだ僕は。

 今年はねェ、ほんとねェ、邦画がねェ…。ゴジラやら君の名はやらヒメアノ〜ルやらアイアムアヒーローやら怒りやら。ディストラクションベイビーとか葛城事件なんかもありましたね。あとは淵に立つの浅野忠信が本当に怖かった。洋画も「手紙は憶えている」とかすごいおもしろかったですけど。主にブレイキングバッドのハンクおじさんがネオナチになってたところとか。ていうかミニシアター系もチェックしはじめたらキリがないね。最近は何者と永い言い訳とこの世界の片隅にを立て続けに観に行きました。

 そんで何者の話なんですけどもね、誰しも経験がある就活あるあるですよ。予告のわりとポップな感じに惹かれて行ったらもう蓋を開けてびっくり。超リアルで生々しい人間関係と劣等感と嫉妬うずまくドロドロした暗い話が展開されてぶっちゃけすげえ胃が痛くなりながら観てたんですが、とある登場人物が終盤で肥大しまくった自意識と歪みに歪んだ承認欲求からたったの一言で解放される瞬間にもう涙がぶわーっと溢れて正直今年ベストになったし「忘れられない人生の一本」になってしまいました。そしてその直後にみた西川美和監督の「永い言い訳」が軽々と今年ベストを更新していきました。

この「永い言い訳」がヤバい。もうヤバい。何がヤバいって本当に良いものに出会ったときひとはヤバいとしか言えなくなるし嗚咽するほど号泣するわけでもなくただ自然と涙がすーっと頬を伝ってゆくのだと思い知りました。身近な人を失って、それを乗り越えようとして、あるいは忘れようとして、別の誰かと関係を築きながら哀しみをゆっくりと咀嚼していく様子が感情的になりすぎずに淡々と描かれて、それゆえに画面から溢れ出てくる優しさ。名作です。



 そんで似たような漫画がそういやあったなあと思い出した感じです。それがコレ。


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ストレッチ (アキリ著 全4巻 小学館)





  東山翔さんという成年向けロリ漫画家がいてさァ。



 いやわかるよ。いきなり何の話だって感じだよね、まあ聞けよ。

 その人が百合アンソロジー誌「つぼみ」で連載してた「prism」っていう漫画がそれはそれはもう、それはもうね、いやあもう。大変によろしいものでございましてですね。


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prism (東山翔著 全1巻 芳文社)



こいつぁとんでもねえものが生まれちまったぞと。こいつぁ大変なことになるぞと。世界がひっくり返るぞと。神の存在を感じたぞと。それくらいに百合界隈では騒がれていたという名作なんですがね。って僕が勝手に思ってるだけなんですけどね。



でもとある事情で連載が中止になってしまって。間もなく掲載誌も廃刊になって。未収録2話を残して事実上終了してしまった不遇の作品なんですね。



こいつぁとんでもないことになったぞと。こいつぁ大変なことになるぞと。いっそ世界が終わるぞと。神は死んだぞと。「prism」の打ち切りってそれくらいの大事件だったんですよね。主に僕の中で。



いやまあ最後に掲載された話が主役2人が初めて結ばれるってそれはそれでキリがよかった気がしないでもないんだけど違うそうじゃねえんだよ!畜生、俺たちはこの行き場のない悲しみをどう乗り越えれば良いんだ!



 …ってなってたときに突然「やわらかスピリッツ」でweb連載が始まったのが「ストレッチ」でございまして。ええ、そうです。絵をみたら作者アキリってお前これどっからどうみても東山某先生ェじゃねえか!しかも内容はOLと女子大生のルームシェア生活…?百合じゃねえか!!ひゃっほう!先生ェはやっぱり俺たちを見捨ててなんていなかったんだ!えーと何の話だっけ。そうだ内容紹介しなきゃ。



 はい。そんで「ストレッチ」ですけどね。上記のとおりOLの慧子と、


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どうやら医学部生らしい蘭が


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なんか東京でルームシェアしてるって話です。そんだけです。

いやそんだけじゃないんだけど。ごめん、はやく書き終えて借りてきたアメリカンヒストリーXを観なきゃいけなくて…。



なんかこの慧子と蘭は高校時代の先輩後輩の仲っぽくて、ルームシェア始める前までは疎遠になってたっぽくて、でもある出来事をきっかけにたまたま再会して、って感じのことが小出しの回想とかエピソードでちょっとずつわかってくる。そういうスパイスをはさみながら、基本的にはふたりのちょっとほっこりするやりとりとか、他愛も無い会話とか、くだらない毎日が淡々と描かれる。


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こんなんとか


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こんなんとか


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こんなんとかねー。



ふたりのやりとりのくだらなさとか身近さに、少しクスっとしながらまあ基本的には楽しく読み進められると思う。でも、そういう楽しい日常に不意に出てくる、死を連想させるような暗いイメージにぎょっとする。



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 そもそもどうしてこの2人一緒に暮らしてるんだろう、たまに出てくる不吉なイメージはなんだろう、この胸騒ぎはなんなんだろう。そう思いながら読み進めると急に、ピンとくる。断片的なイメージ。海。喪服。東北。停電。育てていた花が怪物に食べられる夢の話。



ああ、あの地震だ、と多分日本人ならみんな気付く。あの、春先の。それともうひとつ。そっか、これそういう話だったんだと、気付いた瞬間鳥肌が立ちました。



気付くと同時に、このお話の終わりも見えてきて。すなわちこのふたりはお互いに何か大切なものを喪っていて、その哀しさとか喪失感とかその他いろいろなものにある程度の決着が着いたら、たぶんこのルームシェアは終わってしまうんだろうなあと。


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僕はサンデーで連載してる「だがしかし」がすごい好きでして。


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だがしかし (コトヤマ 著 最新6巻 以下続刊 小学館)



というのも理由があってですね。アレ一見すげえくだらないシュールギャグに見えるじゃないですか。そんでその内容がほんとくだらなくて、アホかよって思いながら楽しく読んでるんですよ。これずっと続けばいいのになあって。でもギャグの合間にふっと現実に引き戻されるというか、何か終わりを予感させるシーンが挟まって。このキャラたちのこの今のやりとりが永遠に続いてほしいけど、でもその日常にはいつか終わりがくると判っているから「今」が尊いんだなっていうなんかアレです。駄目だかっこいいこと書こうとしたら全然上手くいかなかった。



 「ストレッチ」に話を戻すとですね、まあなんていうかなんだ。こういう作品、要するに「いつまでも続いてほしい日常はいつか必ず終わるということが思い知らされる作品」に出会うたびに同時に思い知らされるのが「今の日常はいつか必ず終わるけどその後も日常が続いて行く」という こと。身近な人が死んだりいなくなったりしてそれまでの毎日が終わっても、人生が続いて日常が続いてく故の残酷さと救いと優しさですよ。誰かを喪った悲しみは消えなくても、時間をかけて自分の中で気持ちに整理をつけることはできるんだよ。なんて優しさに溢れた作品なんだろうと震えました。

 なんていうか愛しい。この2人のたった一年の同居生活がただただ愛しくて愛しくてたまらない。最近は「この世界の片隅に」を観たときもおんなじようなことを思いました。


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くだらないとるに足らない日常は永遠じゃないからこそ尊くて美しい。



 こういう優しい作品に出会うと心底漫画読むの趣味でよかったなあとか感じます。

(担当 斧)



あとひとつ訂正。冒頭で長々と感想書いといてアレなんだけど今年のベストは「永い言い訳」でなくぶっちぎりで「この世界の片隅に」だからみんな観に行こうな!!



prism含めた東山翔先生の作品の通販はこちら。違うんだ、僕はロリコンじゃないんだ。ちょっと守備範囲が広いだけなんだ!!

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今回紹介したストレッチの通販はこちら。

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だがしかしの通販はこちらからー。

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  1. 2016/12/03(土) 11:00:00|
  2. 中野店斧

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