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やたらと白飯ばっか食う奴/1

食べ物描写のあるマンガはいまでこそいくらでもありますが、80年までは個人の嗜好に偏りすぎた食べ物描写はそんなにはありませんでした。そんななか前川つかさの「大東京ビンボー生活マニュアル」は個人的なこだわりと金銭感覚の独特さで多くのファンを掴んでいたように思います。

発行は87年から3年。世間ではバブルやなんやで景気がいい話ではありましたが、フリーターという生き方が注目されたのもこの時期。主人公コースケは定期アルバイトについておらず日雇いや商店街の人々の手伝いをしつつも、何故か食えて生活できててしかも彼女もいるという人徳の人。そんなコースケはいっつもピイピイしてて「この日ポケットには228円しかなかった」とか「53円しかなかった」とか「残り22円のうち2円は貯金するとして・・・」といったあまりにつつましい生活を営んでいます。2円を貯金する! 少なくとも「落とした1円玉を拾うと1円以上労力がかかるから拾うのは損」などという人は絶対に出来ない発想ですね。
コースケはビンボーですが世間に対して引け目がなくビンボーを楽しむ域に達しています。だからこそ憎まれないしだれかれが優しくしてくれるんでしょうね。

このころ世間はバブルで美食だグルメだといわれてたわけですが、このマンガではコースケはひたすらに米食道を邁進しているのも心地よい。日本のビンボー人にとって「米さえあれば何とかしのげる」というものです。たとえば若者の味方である牛丼。マンガに登場しやすいモチーフですが、米っ食いコースケの牛丼コースはこれ。

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「バイトの金が入って懐が暖かかった」時しかやらないとはいえ、この日は牛丼半額デー。

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まずは牛丼の具をアテにしてビールを一本。なんだ豪勢じゃないか(そんなでもないか)、と思いきや、具だけというところが不穏。残ったのは白飯だけ。ああわかった、牛丼の汁をオカズにかっこむのね・・・と思ったら甘かった。

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熱いお茶?

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そう、タダの紅生姜をのせまくりお茶をかけてお茶漬けにしてしまうのです。ビールでコッテリとした具を食べてシメにお茶漬け。全然アリ、ビンボ臭くない・・・いや、ビンボ丸出しですね。

で、この日は半額だからとも一杯持ち帰りで購入し、

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翌日それで牛丼ヤキメシをつくる! これ何度見ても「やってみたい」と思うも、結局20年来やれずにいる謎食です。レンジであっためるのがまだ一般的でない20年前の描写ですからね。だれかに経験談をお聞きしたいところです。妙にウマそうなのがくやしいですね。

さらに学食に行ってはこんな組み合わせで。

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最小金額でオカズをつけて異を満足させるにはたしかに麺類よりもこっちの方が腹持ちがよさげです。同様選択肢でなっとう、というのもアリですが、学食にいまあるのか?・・・て、しらすおろしもいま学食にはないだろうなあ。何故か親身になって「どうすれば安くて腹いっぱい食えるか」を考えてるともっと上手が出てきます。コースケの友人の組み合わせは身もフタもないコレ。

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まあそうだろうな。これしかないですわ。最悪みそ汁さえあれば飯は食えます。ただ学生でもなんでもない人間がコレをオーダーするにはけっこういろいろと捨てるものがないとなかなか言い出せないですね。100円マックなんてものがなかったころはそこそこ安く飯食おうと思ったら苦労したわけで。

米っ食いにも程があるのはコースケの親戚のマー坊。

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「ごはんですよ」さえあれば何もいらない・・・って、まあそれはありですよ。でもさ、

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コメ4合半も食わんだろ普通。4合半って1300グラムですから、旧ココイチの大盛りチャレンジカレーくらいですな。

まんだらけ渋谷店の小山さんが塩だけでコメ4合食った、という話を以前聞いたときにも感じましたが、感心するよりもまずyなんか怖くなります。4合半ですよ。吉野家の牛丼大盛り3杯とか4杯とか、そのレベルです。それを塩やごはんですよだけでって、胃だってきっと「もっとちがうもの消化してえな」って思ってるよきっと。

大東京ビンボー生活マニュアルは人情マンガとビンボーライフマンガをうまく取り合わせて、惨めじゃないビンボー生活を描けてたから夢があり、役者や音楽をめざしつつフリーター生活・・・なんて夢を見る若者に愛されてきましたが、いまの世でコレをおなじコンセプトでやろうとしても「闇金ウシジマくん」的なものになってしまうのかと思うとちょっと身震いがしますね。

ともあれ「孤独のグルメ」的な食べ物マンガが好きな人にはおすすめの「大東京ビンボー・・・」。食描写がおおいので、また改めて続きを紹介していきますのでよろしくお付き合いを。
  1. 2009/08/05(水) 23:49:16|
  2. 食べ物

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