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麻雀漫画をオススメしてみる 第4回




麻雀漫画をオススメする記事、第4回目です。
↓↓今までの記事はこちらをご覧ください↓↓
麻雀漫画をオススメしてみる 第1回
麻雀漫画をオススメしてみる 第2回
麻雀漫画をオススメしてみる 第3回

今回紹介するのは、作画・みやぞえ郁雄×原作・志村裕次「真・麻雀伝説 風の雀吾」(グリーンアロー出版)です。

風の雀吾

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まず、最初に宣言しておきます。
思いっきりネタバレします。
ネタバレしたほうが読みたくなると思うので、この漫画に限り、ネタバレありで紹介させていただきます。


さて。
まずはあらすじです。

【あらすじ】
修行の旅から帰ってきた雀吾は、道場で父が倒れているのを発見する。決闘(麻雀)で破れ、封印していた十二の雀技を奪われたという。
その雀技は、父が若き頃ガムシャラに麻雀道を追求した末、悪魔に魂を売って造りあげた邪神の技!

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雀吾は、父の仇をとるために、敵組織・夜叉連合と戦う決意を固める。
そして、夜叉連合も雀吾を放っておかない!

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「我々は麻雀界に革命を起こす! そして再び卓の上を戦場にもどすのだ!」

敵はそれぞれ十二の雀技をひとつずつ習得して、雀吾に挑んできます。

この荒唐無稽な設定。設定こそ「なんで麻雀なんだよ」といった感じですが、それ以外……たとえば
「何故夜叉連合はわざわざ雀吾に勝負を挑むのか?」
「何故ひとりずつ挑むのか?」
「何故雀技はひとつずつしか授けられていないのか?」
といった疑問には、きちんとした理由があり、物語の展開とともに、ただのバトルものとは違った味わいが出て来て、全2巻とは思えないカタルシスを生みます。

さて。
ここで気になるのは邪神の技といわしめた十二の雀技が、はたしてどのようなものなのか?

第一の雀神技“三方魔円陣”こそ、一瞬手牌を見せることで捨て牌読みを惑わす、というマナー的にはともかく実に麻雀っぽい技なのですが……

第二の雀神技“残留思念陣”……相手がアガりたいと願いつつもあがりきれぬ悔しさ、恨み……牌に残るその残留思念を使い、代わりに自分が上がる!


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……うん?
早くも怪しくなってきました。次も見てみましょう。

第三の雀神技“精霊陣”……精霊が手牌を覗いて教えてくれるよ。


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そんな感じで、超能力バトルが繰り広げられます。
しかし、あくまで決着をつけるのは麻雀!

とか思っていたら……
いや、たしかに第十の雀神技までは“必ず天牌をあがる”とか“牌に命を与えて勝手に動く”とか、とんでもではありつつも麻雀の技のうち(?)なのですが、

第十一の雀神技“離霊陣”……相手を幽体離脱させる。


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第十二の雀神技“太陽陣”……太陽の熱で相手を溶かす。


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すでに麻雀で決着つけようとしていない。殺しに来ています。

最終的には時空を狂わせ、何兆何億という時間の流れを往復するという空間の中で麻雀を打ち、決着をつけることになります。


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「麻雀牌が出るなら麻雀漫画」の定義でこれは誰が何と言おうと麻雀漫画であり、空前絶後の傑作少年漫画なのです。
麻雀漫画とはかくも可能性に溢れた、豊饒なる大地なのです(結論)。

【蛇足】
ちなみに自分が好きな雀神技、一番は文句なく太陽陣なんですが、ほか、お気に入りはここらへん(↓)です。

第四の雀神技“谺陣”……超音波で攻撃。あ、これも麻雀関係ないですね。
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第十の雀神技“絶対陣”……相手の出すエネルギーをすべて吸収し、自分の力(ツモとか配牌とか)にする。
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この“絶対陣”はちゃんと伏線もあって、敵・登竜の登場シーンをごらんください。
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「この地と空のエネルギーを少し吸いとれば浮く事ができる」
ちゃんと自分の力を事前に教えてくれる優しい敵です。


【次回予告】

最新の長期連載がまさかの打ち切り! 不遇の麻雀漫画家の傑作長編2作を紹介予定。

(うめだ店/山本コウ)
  1. 2017/01/12(木) 11:00:40|
  2. うめだ店山本

麻雀漫画をオススメしてみる 第3回




麻雀漫画をオススメする記事、第3回目です。
↓↓今までの記事はこちらをご覧ください↓↓
麻雀漫画をオススメしてみる 第1回
麻雀漫画をオススメしてみる 第2回

今までオススメしたものがことごとく竹書房でした。
竹書房は、現在では唯一の麻雀漫画専門誌「近代麻雀」を擁する出版社であり、紹介する麻雀漫画が竹書房に偏るのは致し方ないところはあります。
しかし、竹書房以外からも面白い麻雀漫画は数出ています。

今回紹介するのは、現在「ヤングチャンピオン」で連載中の志名坂高次「凍牌」……ではなく、その作者の昔の麻雀漫画「麻雀倶楽部」です。
「凍牌」は結構巻数も出ていて、スピンオフ作品も出ていることから、ご存知の方も多いと思いますが、簡単に説明すると“血みどろ麻雀漫画”です。

たとえば、掻っ捌いた腹から腸がはみ出たので詰めてホッチキスで縫ったり(麻雀漫画のあらすじです)、

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6000点失うごとに人が首を吊ったりします(麻雀漫画のあらすじです)。

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現在連載中のところでも、ばんばん登場人物が死んでいく……そんなバイオレンスな作品の志名坂高次先生がかつて「マガジンGREAT」で不定期連載していた作品がコチラ


麻雀倶楽部

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オリジナルが手元になく、画像が復刻版なのはご容赦ください。復刻版……結局竹書房ですが……。

それはともかく。
こちらは少年誌に掲載とあって、非常にライトな学園もの×麻雀ものとなっています。
「凍牌」のバイオレンスの片鱗もありません。
金銭のやり取りも(基本的には)ないので、純粋に麻雀を楽しむ物語となっています。

あらすじとしては、麻雀好きが揃って学校内で隠れて麻雀を楽しむ、というもの。
麻雀を楽しむ場を守る話、でもあります。
個人的に好きなシーンが第一話の、これ。プール麻雀、超楽しそう
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主人公の得意技が「平和(ピンフ)」で、実に地味。基本にして王道。
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おまけ漫画の夢の話でもコレです。徹底しています。
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対して、ヒロイン役は最初は麻雀好きの先生、後半からは後輩がヒロイン役になりますが、どちらも強運の持ち主。
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この対照的な麻雀の打ち筋を軸に、男女の高校生活を描く作品です。

細かい麻雀ネタも多い。「五門齋(ウーメンサイ)」とか他の麻雀漫画で見たことないヨ! 中国麻将(ちゅんま)打ちたいヨ!
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麻雀の楽しさと学園生活の楽しさ、両方を描いた青春漫画「麻雀倶楽部」、本当に「凍牌」と同じ作者の作品なのか、是非読み比べて欲しいと思います。

【次回予告】

奪われた十二の雀技を葬り去るための戦いを描く、麻雀バトル漫画を紹介予定。

(うめだ店/山本コウ)

志名坂高次作品はこちら→https://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?categoryCode=00&keyword=%E5%BF%97%E5%90%8D%E5%9D%82%E9%AB%98%E6%AC%A1&shop=55&soldOut=0&dispCount=120
  1. 2017/01/06(金) 11:00:33|
  2. うめだ店山本

麻雀漫画をオススメしてみる 第2回





麻雀漫画をオススメする記事、第2回目です。
↓↓第1回目の記事はこちらをご覧ください↓↓
麻雀漫画をオススメしてみる 第1回
麻雀漫画を紹介する上で外せない人物として阿佐田哲也がいて、この人物については何度も言及しましたが、もう一名、スター選手としていい人物がいます。

それが雀鬼・桜井章一
漫画では、20年間無敗、という肩書きで紹介されることが多く、現在では“雀鬼会会長”という肩書きのほうが通りがいいかもしれません。

阿佐田哲也は物書き業をしつつも、生粋のギャンブル狂であり、それゆえに愛される人物でした。
逆に、桜井章一は圧倒的な強さと厳しい精神論で、崇められ、雀鬼流道場を立ち上げることで一派の長となった人物です。
現在では自己啓発系のビジネス書を多く出していることからも分かるように、他者をも律するその風潮は、合う合わないの個人差が激しい。桜井章一を主人公にした麻雀漫画も数多いけれど、エンターテイメントとしては説教臭さが混じって純粋に楽しめないものが多いのが事実です。

そんな数ある桜井章一を主人公にした麻雀漫画の中から、純粋にエンターテイメントとして面白い作品が、こちら。

神田たけ志「ショーイチ 20年間無敗の男 桜井章一伝」全9巻


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ノンフィクションの風を装っていますが、さて、どこまで嘘か本当か。ただ、単純に物語として面白い。
序盤は桜井章一が麻雀を覚える学生時代から始まり、素人を食い物にする熊(裏プロ)やヤクザに対して、暴力には屈せず、技で仕返して懲らしめる、という水戸黄門のような黄金パターンの短編を幾つか積み上げます。


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そしてイカサマ麻雀漫画の傑作「治外法権麻雀」が14話のロングエピソードとして始まります(コミックス4・5巻収録)。

拉致された桜井章一が連れられてきたのが「西側の或る大使の私邸」という治外法権で、何の説明もなく、一切の発言も禁止という状況で勝負の場に立たされるところから勝負が始まります。

四人が四人ともロン・ツモ、点数(上がり役)申告以外の発声をしない。会話がない状況だが、裏技の応酬でまさに“会話”がなされるのが見所。


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積み込みの段階での応酬が第一段階。


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そしてすり替え、ぶっこ抜きetc、あらゆる技の応酬そして心理戦の第二段階。

何より秀逸なのが“四人の応酬”になっているという点だと思います。麻雀(四人麻雀)は1対3が現実ですが、漫画という表現上、また分かり易さの面からも1対1のような表現になることが多いのです。
しかしこの「治外法権麻雀」は会話を一切省いたうえで、全員の積み込みや裏技を表現することで、実に見事に4人の対決、という麻雀の醍醐味を描いています。


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状況に応じて、各自が臨機応変に対応していく。直前まで協力していた相手が、一瞬後には敵になる。そんなヒリヒリした緊張感が、終始張りつめています。

相手の技に対して、どのような技を返すのか……という当たり前のイカサマ麻雀漫画の限界を超えて、流し読むだけだと何がどうなっているのかすら分からない複合技の応酬の密度は他の追随を許しません。

そして漫画「ショーイチ」はこの「治外法権麻雀」を境に転調します。
引退に向けて、師匠を求めての、桜井章一の模索の旅が始まり、最後の「一人だけの引退試合」へと収束していきます。

脇役、とくに前半出て来るキャラに味のあるキャラが多く、定時出勤定時退社をしてひと月で常にほぼ同じ額だけ勝ち続けて“サラリーマン”として家庭を養う「サラリーマンプロ」とか、もう肩書きで笑ってしまう「銀座の夜の帝王」の負けっぷりとかは、それだけでも充分に読んで欲しい魅力に溢れています。


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             サラリーマンプロ。雀荘に「出勤」。


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            銀座の夜の帝王の見事なまでのやられっぷり。



最後に、せっかくなので「雀鬼会(雀鬼流)」に関しても軽く触れておきます。
「雀鬼流」といえば「1打目に字牌を切らない」「ドラは聴牌するまで切らない」
「打牌が早い」くらいの通り一遍な理解がまかり通っています。
しかし、興味を持った人がそうした表面的なことで勘違いしてしまうのも勿体ないので、入門書として以下をオススメしておきます。


谷口亜夢「雀鬼サマへの道」全5巻

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麻雀好き&雀鬼サマ大好きな漫画家・谷口亜夢が雀鬼会に入って教わっていく話になります。入門者からの視点なので、疑問点や解説が実に分かり易い。
特に雀鬼会に興味があるけど、近くに雀鬼流道場がない、という人にとって1・2巻は必読と言っていいでしょう。「何故最初に字牌を切ってはいけないのか」「何故ドラを大切にするのか」「何故~」と様々な部外者からの「何故」に答えてくれます。
3巻以降は雀鬼会員3名+作者の対局に雀鬼サマが解説をする、という形でまるまる使われるので、細かい状況に応じた考え方を知りたい、という向き以外にはあまり……
「ショーイチ」でも書かれていた「天運」「地運」の話もかなり詳しい……が。


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                  ここらへんはまだ門外漢の私にも分かる。


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                  うん、ちょっと何言ってるかよく分からない。


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                      駄洒落……?


なお、この漫画が書かれたのももう15年以上前なので、現在のものは変わってしまっているかもしれない点はご注意ください。

最後に「雀鬼会の目的と心得」を載せて今回のブログは終わりとします。


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【次回予告】

現在血みどろ麻雀漫画を書いている作者の、お気楽極楽麻雀漫画を紹介予定。

(うめだ店/山本コウ)

「ショーイチ」通販はこちら→
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(うめだ店/山本)
  1. 2016/12/28(水) 11:00:25|
  2. うめだ店山本

麻雀漫画をオススメしてみる 第1回




週刊少年マガジンで連載していた麻雀漫画、甲斐谷忍「無敵の人」最終巻が先日発売になりました。
同誌では「哲也~雀聖と呼ばれた男~」以来の麻雀漫画連載ということで、麻雀漫画好きの注目を浴びてのスタートでしたが、
「哲也」ほどのロング連載になることはなく終了となりました。

やはり、バブル期ほどの麻雀ブームではない現在、麻雀漫画でヒットは厳しいのか?
麻雀、というだけで敷居が高いのか?
たしかに面白いのに「麻雀漫画」というだけで日の目を見ていない漫画が多い気がします。

以前、ちょうど「無敵の人」の連載が始まった頃に
「咲-saki-」や「アカギ」「哲也」などで初めて麻雀漫画に触れた人に勧める「次に読んで欲しい麻雀漫画」
として麻雀漫画の紹介をしました。

なので、今回はもうちょっと踏み込んで「麻雀漫画」を紹介していきたいと思います。
あれを初級編とするなら、今回紹介するのは「中級編」。
「麻雀漫画」というくくりでは収まり切れない、破天荒な作品ばかりです。
前回はけっこう駆け足で紹介してしまったので、今回は1作品ずつ数回に分けて紹介していきたいと思います。

原恵一郎「麻雀放浪記 凌ぎの哲」(竹書房)


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最初に紹介するのは、こちら。
画像を見て奇妙に思うかもしれません。
実はコミックスが6巻まで出て打ち切り、連載は続いてもコミックスは出ずに終わってしまった作品です。
訂正文:画像では6巻までですが、7巻まで出ていました。ここに訂正させていただきます。

ところが、その未収録の中の「博打列車編」のエピソードがストーリー、敵役、イカサマ技等が群を抜いて面白く、コミックス打ち切りから実に8年後、廉価版(所謂、コンビニコミックス)「麻雀バクチ列車」上下巻として刊行されました。
ここでファンが悲鳴を上げます。
「コミックスは「権々会編」の途中で終わってるのに、その結末は読めないのか!?」
「バクチ列車」の売れ行きがよかったのか、そうしたファンの悲鳴が編集部に届いたのか、半年後「バクチ麻雀地獄寺」上下巻として、コミックスと「バクチ列車」の間のエピソードもコミックス化されたのでした。
ちなみに最終エピソードはまだコミックス化されておらず、ファンはコミックス化を待っています>竹書房様

物語はタイトルからも分かるように、基本設定は阿佐田哲也「麻雀放浪記」に則ります。
ただ、アレンジが凄い。
登場人物の名前が一緒なだけで、もうまったくの別物と言っていい。
もうひとつ、この漫画の凄いところは、これだけアレンジしておいて、骨格というか、雰囲気というかは実に原作に近いのです。


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主人公・坊や哲はしょぼくれた兄ちゃんだし、


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野上の健、ことドサ健はまさに"ドサ回り野郎"といった風体。

漫画の「哲也」に慣れてしまった向きからすると違和感が凄いのですが、原作の雰囲気的にはこっちのほうが"近い"。
もっとも言動やらは全然違うんですけどね。

今回紹介したいのは、とくに「麻雀バクチ列車」。このエピソードを単体でコンビニコミックス化したのは英断だと思います。
何より、このエピソードだけ読んでも問題がない、というボリューム。ついで、麻雀知らない知人何人かに読んでもらって、いずれも面白いという評を得ていること。麻雀部分が分からなくてもストーリー、キャラクター性で読めるところなのが大きいです。

物語は麻雀で飯を食っているバイニンたちが次々と列車からの転落死をしている、という事件から始まります。


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過去の幽霊からの招待状、そして蜜に誘われる虫のように、列車に集うバイニンたち。
警察の手が及ばない列車内で行われるバクチ、とは表の顔。
裏では、負けた者たちが飛び降りる狂気の麻雀が行われたいた。


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そして出てくるラスボス・ブー大九郎。


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あれ? おかしいなぁ、阿佐田哲也の小説に出てくるブー大九郎ってこんなキャラじゃなかった。


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こんなこと叫ぶキャラじゃなかった。

そんな濃いラスボスに負けない脇役たち。舞台はずっと列車の中なのに、そんなことも忘れるほど物語は有為転変します。

ちなみに「バクチ麻雀地獄寺」はマイナス分を払いきれない者が鐘に吊るされて腕を砕かれます。


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そんな狂気に満ちた「凌ぎの哲」の世界に、どっぷりハマってみませんか?


【次回予告】

究極のイカサマ麻雀を描いた「治外法権麻雀」が読める、雀鬼の半生を描いた作品を紹介予定。


(うめだ店/山本コウ)

原恵一郎作品はこちら→https://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?categoryCode=00&keyword=%E5%8E%9F%E6%81%B5%E4%B8%80%E9%83%8E&shop=55&soldOut=0&dispCount=24
  1. 2016/12/18(日) 10:55:36|
  2. うめだ店山本

狩猟漫画「猟犬探偵」と作家・稲見一良




最近、ジビエ料理が流行っているらしいです(ソースはN○K)。

漫画を読まれる方では「ゴールデンカムイ」(集英社:野田サトル)や「山賊ダイアリ
ー」(講談社:岡本健太郎)で馴染み深いかもしれません。

私、うめだ店スタッフ・山本がジビエ……と言うよりも「狩猟」と聞いて思い浮かべる
のは稲見一良(いなみ・いつら)という作家です。
というわけで、今回ご紹介するのは、稲見一良の短編小説を谷口ジローが漫画にした「
猟犬探偵」全2巻です。


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原作者の稲見一良は狩猟を嗜んでいて、書かれるのは狩猟小説であり、ハードボイルド
小説。著者の言葉を借りると
「ハードボイルドの厳しさと感傷を底流にした闘争の話」
です。
知識を活かした猟の描写は具体的かつ説得力があり、谷口ジローの作画とあいまって、
見事な迫力となって読者に迫ります。


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猪狩りの様子など、犬も一緒になっての集団行動だというのが分かります。まさに闘争
です。

もっとも「猟犬探偵」は狩猟がメインではなく、猟犬探し専門の探偵・竜門卓の物語で
、テーマは“誇り高き男の、含羞を込めた有形、無形の贈りもの”です。
この「含羞を込めた」というものが、実にいい味になっていて、和製ハードボイルドの
傑作と言われる所以だと思います。

たとえば1巻「セント・メリーのリボン」 。


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ヤクザの依頼も専門外だと突っぱねる一方、


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女の子に贈り物をするのに口上をとちらないように練習したりもします。
ヤクザ相手に一歩も引かない男でも、ガサツではなく、優しさをもって人に接する格好
よさ。憧れますね。

原作は短編小説で、1巻にあたる「セント・メリーのリボン」はまさに表題作になって
いる短編集「セント・メリーのリボン」に、2巻にあたる「サイド・キック」は著者の
死後刊行された追悼連作短編集「猟犬探偵」に、それぞれ収録されています。


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そう、著者はかなり以前に亡くなっています。10年におよぶ癌との闘病生活の末の死で
した。
作家業に専念したのも「生きた証を残したい」ということで、闘病生活と平行してのも
のだったそうです。

物語は、猟犬専門のはずの竜門が、大型犬とはいえ盲導犬探しを依頼され、盲目の少女
と出会う話です。
犬の描写も詳しく、猟犬だけでなく、盲導犬とはどういうものか、ということも分かり
ます。


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ジビエや狩猟に興味を持たれた方の、次の一冊にオススメする作品です。

ところで。
「セント・メリーのリボン」が1993年刊行、亡くなられたのと「猟犬探偵」の刊行が19
94年です。
そして谷口ジローによるコミックスが描かれたのが2011年。実に18年もの歳月が経って
からのコミカライズ。漫画のあとがきによると、谷口ジロー本人によるコミカライズ希
望ということで、原作に対する愛情溢れた作品に仕上がっているのも納得でした。

何が言いたいかというと。


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同作者の作品で「ソー・ザップ!」(1990年刊行)という作品があります。レッドムー
ン・シバと名乗る男が己の人殺しの技量を試したいがために、自分に三千万円もの賞金
をかけた。この挑戦を受けたのが、元レスラー、手裏剣と小太刀の名手、大型獣のハン
ター、狙撃の名手の元警官……雄大な山野にて、5人の男によるマンハントが始まる…
…という作品。
稲見一良の自然への畏敬の念、ハードボイルドな男たちの生き様、銃や自然への深い造
詣などがふんだんに含まれつつも、実に漫画向きなこの作品のコミカライズ、まだまだ
ワンチャンあるんじゃないかな? かな?


(うめだ店/山本コウ)


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  1. 2016/12/14(水) 10:44:19|
  2. うめだ店山本

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